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インプラントとセラミックの違いは?治療法の特徴と選び方ガイド
2024年12月11日
歯の治療を検討する際、『インプラント』と『セラミック』という選択肢がよく挙げられますが、これらの治療法にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、インプラントとセラミックの特徴や治療方法、費用、さらにはそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、選び方のポイントもご紹介します。
インプラントとは
インプラントは、失った歯を補うための治療法として広く知られています。
特に、自然な見た目と機能性を取り戻すことができる点で、多くの方に選ばれていますが、具体的にどのような仕組みで行われる治療なのかを理解することが重要です。
ここでは、インプラントの基本的な構造や素材、治療期間、費用について詳しく見ていきましょう。
人工歯根を埋め込み、人工の歯を装着する治療法
インプラントは、失った歯を補うための治療法で、あごの骨にチタンなどの素材でできた人工の歯根を埋め込み、これを骨としっかり結合させます。
この結合は『オッセオインテグレーション』と呼ばれ、数ヶ月かけて骨としっかり固定されます。
その後、人工の歯根にアバットメントと呼ばれる部品を取り付け、最終的にセラミックなどで作られた人工の歯を装着します。この方法によって、見た目も機能も自然な歯に非常に近い状態が回復されます。
インプラントのメリットは、入れ歯やブリッジと異なり、周囲の健康な歯に影響を与えないことです。
また、長期間にわたって使用することができ、しっかりとした噛み心地が得られるため、多くの人に選ばれている治療法です。
治療期間
インプラント治療は、一般的に3カ月から1年ほどの期間を要します。
治療の流れは、まず精密検査を行い、顎骨の状態や歯周病の有無を確認した後、人工歯根(インプラント体)をあごに埋め込む手術が行われます。
この手術自体は1日で完了しますが、インプラント体が骨としっかり結合するまで数ヶ月の『定着期間』を設けます。
この期間が治療全体の長さに大きく影響し、患者さんの骨の状態や健康状態によって異なります。
特に顎骨が薄い場合や歯周病がある場合は、事前に骨造成や歯周病治療が必要となり、治療期間が延びることがあります。
インプラントと骨が十分に結合した後、連結部品(アバットメント)を取り付け、最終的に人工歯を装着します。
治療後も定期的なメンテナンスが必要で、このケアによってインプラントの長期的な安定性が保たれます。
費用
インプラント治療の費用は、1本あたり30万円から50万円程度が一般的な相場です。
この費用には、インプラント体(人工歯根)をあごの骨に埋め込む手術費用、アバットメント(連結部品)、そして上部構造となる人工歯の製作費が含まれます。
また、治療前の精密検査やCT撮影、手術後のメンテナンス費用も別途かかることが多く、これらの追加費用を含めると総額はさらに高くなる場合があります。
特に、骨が不足している場合には骨造成の処置が必要となり、その分費用が増加します。治療費は自費診療であるため、クリニックごとに異なり、使用するインプラントのメーカーや歯科医師の技術力によっても差が生じます。
さらに、審美性が重視される部位では、より高額になることもあります。治療を始める前に、詳細な見積もりを確認し、納得した上で進めることが重要です。
セラミックとは
セラミックは、主に虫歯治療や審美歯科で使用される材料の一つで、天然歯に近い美しさと機能性を持つことで知られています。
金属アレルギーの心配がなく、耐久性にも優れているため、詰め物や被せ物として広く用いられています。ここでは、セラミックの特徴や治療方法、費用などについて詳しく解説していきます。
虫歯治療で使用される材料
セラミックは、主に虫歯治療で使用される材料の一つで、自然な歯に近い色合いや透明感を持つことから、審美性が高く評価されています。
従来の金属製の詰め物や被せ物と異なり、セラミックは白く美しい仕上がりになるため、特に前歯といった目立つ部分の治療に適しています。
さらに、セラミックは金属を含まないため、金属アレルギーのリスクがなく、身体に優しい素材としても人気です。
また、セラミックは汚れが付きにくく、劣化しにくい特徴があるため、長期間にわたって美しさを保つことができます。
虫歯治療では、削った部分にセラミック製の詰め物や被せ物を装着し、歯との隙間を抑えることで二次虫歯のリスクを軽減することも可能です。
治療期間
セラミック治療の期間は、治療内容や個々のケースにより異なりますが、一般的には2~3回の通院で完了するケースが多いです。
初回の診察では、虫歯や歯の状態を確認し、必要に応じて歯を削り型取りを行います。この工程には1〜2時間ほどかかる場合もあります。
型取りが終わると、技工所でセラミックの詰め物や被せ物を製作し、通常1~2週間で完成します。完成までの間は仮歯を装着して過ごします。
次回の通院時に、完成したセラミックを装着し、噛み合わせや見た目を調整して治療が終了します。
治療期間は短いものの、精密な作業が求められるため、歯科医院によってはさらに時間がかかる場合もあります。
また、事前に根管治療や歯周病治療が必要な場合は、その分期間が延びることもあります。
費用
セラミック治療の費用は、治療内容や使用する素材によって異なりますが、一般的に1本あたり8万円から18万円程度が相場です。
例えば、オールセラミッククラウンは透明感があり審美性に優れていますが、費用は高めで1本あたり10万円前後かかることが多いです。
また、メタルボンドクラウンは内側に金属を使用しつつも外側はセラミックで覆われており、強度と審美性を兼ね備えた治療法で、これも同様に10万円前後の費用がかかります。
さらに、部分的な詰め物であるセラミックインレーの場合は、比較的安価で4万円から9万円程度が一般的です。
これらの治療は保険適用外の自費診療となるため、全額自己負担となります。クリニックによってはセット価格や割引キャンペーンを実施している場合もあるため、事前に確認すると良いでしょう。
インプラントとセラミックの違い
インプラントとセラミックは、どちらも歯を補うための治療法ですが、適用される状況や治療方法に大きな違いがあります。以下の表で、両者の主な違いを比較してみましょう。
インプラント | セラミック | |
---|---|---|
治療対象 |
|
|
構造 | 3つのパーツ(人工歯根、アバットメント、人工歯)で構成 | 詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)として使用されるセラミック素材 |
素材 |
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|
期間 | 骨とインプラントが結合するまで数ケ月かかり、全体で3カ月〜1年ほどかかることが多い | 2〜3回の通院で完了することが多く、最短で2週間程度で治療が終わることもある |
費用 | 1本あたり30万円〜50万円程度
※手術・検査費用も含まれる |
※使用する素材によって変動 |
メリット |
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デメリット |
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適用ケース | 歯根がなく、失った歯を補う場合 | 歯根が残っており、虫歯などで一部欠けた歯を補う場合 |
インプラントは主に歯根ごと失った場合に適用され、長期的な安定性と機能性を提供し、セラミックは審美性に優れた素材であり、主に虫歯などで部分的に欠損した歯を補う際に使用されます。
それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、自分の状況や希望に応じて選択することが重要です。
選び方のポイント
インプラントとセラミックは、それぞれ異なる特徴を持つ治療法ですが、どちらを選ぶべきかは患者さんの口腔内の状態や希望によって異なります。
ここでは、インプラントとセラミックを選ぶ際に考慮すべきポイントについて解説します。
歯根の状態や治療する部位、さらには金属アレルギーの有無など、さまざまな要素を踏まえて、自身に最適な治療法を見つけるための参考にしてください。
歯根の状態
インプラントとセラミックの選択で、最も重要な判断基準の一つが『歯根の状態』です。
インプラントは、歯根が完全に失われた場合に適用される治療法です。人工歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工歯を装着するため、歯根がない状態であっても、しっかりとした土台を確保できます。
一方で、セラミック治療は歯根が残っている場合に適用され、虫歯や外傷で歯が部分的に欠損している場合、セラミック素材の詰め物や被せ物を使用して補修することが可能です。
歯根が健康であれば、セラミック治療は審美性と機能性を兼ね備えた選択肢となります。
ただし、歯根が損傷している場合や抜歯が必要なほど悪化している場合には、インプラント治療が推奨されます。治療法の選択には、まず歯科医師による正確な診断を受け、自分の歯根の状態を把握しましょう。
前歯か奥歯か
前歯は審美性が特に重視されるため、自然な見た目を再現できる治療法が求められます。セラミックは、透明感や色合いが天然歯に非常に近く、前歯の治療に適しています。
インプラントの場合、人工歯根を埋め込み、その上にセラミッククラウンを装着することで、天然歯に近い色合いや透明感を実現できます。
一方、セラミック単体の治療でも、歯根が残っている場合は詰め物や被せ物として審美性の高い仕上がりが可能です。
奥歯では、咀嚼の負荷が大きく強度と耐久性が重要なため、あごの骨にしっかり固定されているインプラントがおすすめです。
セラミック治療でも奥歯に適用できますが、特に強度の高いジルコニアなどの素材を使用することが推奨されます。したがって、前歯では審美性を重視し、奥歯では強度と機能性を考慮して選ぶことがポイントです。
金属アレルギーへの対応
インプラント治療では、人工歯根にチタンが使用されることが多く、チタンは生体適合性が高いため、金属アレルギーを引き起こしにくいとされています。
しかし、まれにチタンアレルギーを持つ人もいるため、事前にパッチテストなどで確認することが推奨されます。
もしチタンアレルギーがある場合には、ジルコニア製のインプラントなど、金属を使わない選択肢もあります。
一方、セラミック治療は金属を一切使用しない素材で作られることが多く、金属アレルギーの心配がありません。
特にオールセラミックやジルコニアクラウンは、審美性にも優れており、アレルギーリスクを避けたい方に適した治療法です。
金属アレルギーがある場合は、インプラントかセラミックかを選ぶ際に必ず歯科医師と相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
まとめ
インプラントは歯根が失われた場合に人工歯根を埋め込む治療で、強度と機能性が高い一方、セラミックは歯根が残っている場合に詰め物や被せ物で補修し、審美性に優れています。
歯根の状態や、施術場所が前歯か奥歯か、金属アレルギーへの対応などのポイントを考慮して自分に合った治療方法を見つけてください。
小嶋デンタルクリニックでは、治療を始める前にカウンセリングを行い、患者様に治療のメリット・デメリットを理解したうえで治療を受けていただける環境を整えています。
カウンセリング室で、インプラント以外の治療方法の相談も含めて、30~60分ほどの時間をかけて、丁寧にご説明いたします。
患者様一人ひとりの口腔内の状態やライフスタイル、治療に対するご希望をしっかりとお伺いし、最適な治療プランをご提案いたします。
インプラントについてお悩みの方はぜひ、小嶋デンタルクリニックまでご相談ください。