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インプラント手術後の様子や過ごし方・受診するべき症状を詳しく紹介
2024年12月11日
インプラントは顎の骨に穴を開ける外科手術ですが、口の中の手術のため、食事や生活にどの程度の支障があるのか、どのように過ごせばいいのかなどが気になるところでしょう。
術後を良好に過ごし、少しでも早く日常復帰するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?
この記事では、インプラント手術後の様子や大切な薬の服用について、食事や生活習慣、受診が必要な場合や注意点について紹介します。
インプラントの手術後を不安なく過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。
インプラント手術後の様子
インプラントは外科手術だけあって、虫歯治療とは施術後の様子に違いがあります。
まず初めに、インプラント手術後の様子について紹介します。
麻酔の効果が切れるのは?いつまで痛い?
インプラント手術で行われる麻酔は、局所麻酔の場合は2~3時間後、静脈内鎮静法は術後3~4時間後に効果が切れます。
それぞれの麻酔の効果は以下です。
- 局所麻酔……意識があるまま治療部位の感覚を鈍らせる
- 静脈内麻酔……意識が曖昧で恐怖心は薄れるが鎮痛作用はないため局所麻酔と併用される
麻酔の効きが悪かった経験などがある場合は事前に医師に伝えておきましょう。
術後の痛みについては、造骨手術や多数のインプラントを埋めるケースなどは長引くこともありますが、ほとんどの場合、術後2~3日をピークとして1~2週間で治まります。
出血がある
インプラント手術では歯茎を切開するため数日間続く出血が見られますが、徐々に治まっていきます。
直後は出血があるため歯科医院でも止血をしますが、しばらくは血が滲んでくる場合があります。
その場合は、10~15分程度ガーゼを交換しながら噛む圧迫止血を繰り返してください。目立った出血は1~2日で治まります。
夜は枕が血で汚れないようタオルを敷くなど、1週間ほどは様子をみてください。
施術近辺の頬に内出血
インプラント手術後2~3日を経過すると、手術した辺りの頬から顎・首あたりの皮膚など(外側)に、内出血斑があざのように生じる場合があります。
女性に特に多い症状ですが、1~2週間ほど経った頃に消えるため、特に何か処置が必要なものではありません。
外出時にマスクをするなどして、様子を見ましょう。
糸に違和感がある
インプラント手術では歯茎を切開し縫合した糸が数日口の中に残り、違和感が生じることがあります。
1週間ほどで抜糸しますが痛みはほとんどなく、あってもチクッとする程度です。
糸が気になって舌や指で弄りたくなる場合もありますが、触ると糸や傷口に菌が付着して、炎症の原因となるケースがあります。歯磨きや食事の際も気をつけましょう。
傷口に血の塊ができる
インプラント手術後の傷口に、血の塊ができる場合がありますが、傷口の再生に必要なものであるため、なるべく触れずに取らないようにしてください。
『血餅(けっぺい)』と呼ばれるかさぶたのような役割を果たすものですが、歯ブラシやうがいなどのちょっとした刺激で取れやすく、出血の原因になります。
歯磨きの際には歯ブラシの先が当たらないよう注意し、うがいも最小限に留めましょう。
インプラントは術後すぐには歯が使えない
インプラントは切開時に仮歯が装着されるため、術後に物が噛めないわけではありませんが、手術後すぐに使えるわけではなく、通常通りに噛めるようになるまでは数ヶ月かかります。
仮歯はプラスチックのため強度が低く、噛むためというより噛み合わせを保持したり傷口を保護したり、自然な見た目のためなどに入れる一時的なものです。
インプラントに歯冠が装着されて本格的に稼働できるようになるまでには時間がかかるため、治療が完全に終わるまでは患者さんのメンテナンスが重要です。
インプラント手術後の薬の服用について
インプラント手術後は歯科医院から薬が処方されますが、医師の指示にしっかり従って服用しなければならない薬があるため、注意が必要です。
インプラント手術後の薬の服用について紹介します。
鎮痛剤をうまく使う
インプラント手術後は、鎮痛剤が処方されるのが一般的ですが、効果的な使い方をすることで術後の痛みをうまく避けられます。
鎮痛剤は効くまでに若干時間がかかるため、麻酔が切れる少し前に服用すると痛い思いをせずに済みます。
痛みが治まらない場合に追加して服用していいか、多めに処方してもらえるかなどを相談しておくと安心です。
インプラント手術後に処方される鎮痛剤にはロキソニンやロキソプロフェン・ボルタレン・カロナールなどが挙げられますが、もし痛みが長く続く場合は市販薬も使用できます。
市販薬を選ぶ場合の成分は、アスピリン・アセトアミノフェン・イブプロフェンもおすすめです。
また、鎮痛剤は痛みを抑える一方で胃や肝臓などに負担がかかる場合があるため、胃弱の方は申し出ておくことで、胃腸薬の処方があるかもしれません。
抗生物質は決められた日数を必ず服用
インプラント手術は外科手術のため、術後は感染予防のための抗生物質が処方されることがあります。
指定された日数で飲み切って効果を維持する薬のため、痛みがなくても最後まで飲み切る必要があります。飲み忘れると効果が切れたり、耐性菌ができてしまいます。
抗生物質の正しい効果を得るため、アルコールと同時に摂取するのは厳禁です。
正しい服用方法で、正しい日数分を服用しましょう。
歯磨きできない間はマウスウォッシュ
歯科医院によっては、歯磨きが不自由な術後のためにうがい薬やマウスウォッシュを出してくれるところもあります。
患部が気になるインプラント手術後でも、口内は清潔に保たなくてはいけません。
患部は抜糸後に磨けるようになります。それまでは患部以外を柔らかい歯ブラシで優しく磨きましょう。
インプラント手術後の食事について
インプラント手術後の食事については、以下のようなことに気をつけて摂りましょう。
麻酔が切れるまでは飲食を避ける
術後は麻酔が切れるまでは、口内を噛んだり熱いものでやけどしたりする可能性があるため、飲食を避けた方がいいでしょう。
インプラントの手術後は、患部に刺激を与えないようにしながらも、口腔内を清潔に保たなければいけません。
柔らかい歯ブラシにより歯磨きに時間がかかるうえ、口腔内を噛んでて傷をつけてしまうと、さらに歯磨きがしづらくなるでしょう。
局所麻酔の場合は2~3時間程度で効果が切れますが、我慢できない場合はスープや流動食など咀嚼のいらないものをきちんと冷ましてから摂りましょう。
柔らかく刺激のないものを選んで食べる
インプラントの術後は1週間程度はおかゆやうどんなど柔らかいものを選び、治療部位では食べないなどの注意が必要です。
柔らかくても歯にくっつきやすいもの、血流を促す辛いものや、酸っぱいもの・味の濃いもの・熱いものも刺激が強いため、避けてください。
抜糸までは違和感で食べにくいこともあり食事には時間がかかります。ゆっくりと落ち着いて食べましょう。
アルコールと炭酸は控える
術後2~3日は例え飲み物でも気をつけないと、痛みが増す可能性があります。
例えばアルコールは血行を促進するため、出血や痛みがぶり返す場合があります。
炭酸も刺激があり痛みが増すことがあるためおすすめできません。
飲んでいい飲み物でも、熱い・冷たいなど、極端な温度で口にするのは避けた方がいいでしょう。
インプラント手術後の生活習慣について
インプラント手術後の生活習慣は、以下のことに気をつけましょう。
- 1週間は禁煙
- 1週間は入浴を控え、シャワー程度に留める
- 軽い運動でも術後2~3日は控え、激しい運動は1週間を過ぎてから
- 歯磨きは柔らかい歯ブラシで行う
喫煙はインプラントと顎の骨が結合しにくく、傷の治りも遅くなります。
加えて、喫煙はインプラント歯周炎(インプラント周囲の粘膜のみに炎症が起こる症状)によるインプラントが抜け落ちるリスクを通常より2倍高めるといわれています。
長い目で見ればメンテナンスにも関わってくる問題のため、この機会に禁煙をおすすめします。
歯磨きは、患部以外は術後でも必要であるため、患部に刺激を与えないように、毛先の細い柔らかめの歯ブラシで磨きましょう。
そして、術後の受診で担当医を相談しながら、元の硬さの歯ブラシに戻していきましょう。
受診が必要な術後の症状
口腔内の外科手術は虫歯の治療と違ってなかなか受ける機会がないため、どんな症状だったら受診するべきかを迷う人も多いでしょう。
インプラント手術後に、以下のような気になる症状があった場合は、手術をした歯科医院を受診してください。
耐えられない腫れや痛みが続く・日ごとに強くなる
インプラント手術後の痛みは、特別な問題がなければ1~2週間ほどで治まるのが一般的ですが、以下のように症状が増していく場合は受診が必要です。
- 鎮痛剤の量を増やしても痛みが治まらない。日ごとに痛みが増す
- 1週間以上腫れが続く・大きくなる
- 顔や喉元が腫れた場合
痛みが酷くて受診したくても、休診日などすぐに対応できない場合は、市販の鎮痛剤を使用したり、冷やしたりするのも効果的です。
感染症を引き起こしている場合も考えられるため、我慢せずに受診しましょう。
出血が止まらない
施術部位からの出血は、通常1~2日で止まりますが、なかなか止まらなかったり、鼻から出血があったりする場合は周辺に異常が起こっている可能性があります。
受診の際は担当医に、出血の頻度や量を詳しく伝えましょう。
下痢や湿疹
稀に下痢をしたり湿疹がでたりする場合がありますが、処方した薬が体質に合わずに起こっている可能性があります。
この場合は例え抗生物質でも無理をして飲み続けず、すぐに担当医に連絡をしてください。
口腔内以外の症状
インプラント手術後に、以下のような口の中や歯・歯茎以外の症状がある場合は、なるべく早く手術を行った歯科医院を受診してください。
- 下唇が震える
- 下が痺れる
- よだれが出る
- 鼻から出血する
1~3までは神経を損傷した場合に見られる症状です。
4は上顎洞(鼻の横の空洞)で炎症が起こっている場合の症状で、蓄膿症などに発展する場合があります。
どちらも頻繁にある症例ではなく治療も可能であるため、早めに担当医に相談して対応してもらいましょう。
骨造成を行った場合の注意点
骨造成を行った場合のインプラント手術は、通常よりも手術範囲が広いため、痛みと腫れが長く続き、術後の注意点も通常のインプラントと多少違いがあります。
骨造成を行った場合の注意点を紹介します。
サイナスリフト・ソケットリフト
サイナスリフトとソケットリフトはどちらも上顎に人工的に骨を盛り足す手術で、上顎洞を覆う『シュナイダー膜』を押し上げてスペースを作って、インプラントを埋入します。
シュナイダー膜までの骨が、
- 5mm以上ある場合はサイナスリフト
- 5mm以下や失った歯が多い場合はソケットリフト
が適用されます。
この治療法にはインプラント全般の注意点の他に、以下のような注意点があります。
- 24時間はうがいを控えめにする
- うつ伏せに寝ない
- 運動や歌唱など、激しい呼吸をするような行動はしない
鼻の通り道の脇にある副鼻腔に対して施術しているため、術後は風邪をひかないよう体調管理をして、くしゃみや咳などもなるべく我慢しましょう。
GBR
GBRは、骨の不足している部分にインプラントが入る骨を作る骨再生誘導法です。
患者さん自身の骨を採取したものや人工骨を粉砕し、骨の厚みや高さが足りない部分を補い、人口膜で覆って歯槽骨の再生を促します。
術後はサイナスリフト同様、傷の治りが悪くなるためうつ伏せ寝は避けてください。
骨の再生には10ヶ月ほどの時間がかかるため、インプラントの固定を待ちます。
その間、圧痛が続くことがあるため気になるかもしれませんが、患部を刺激することがないように注意しましょう。
まとめ
インプラント手術は、術後に気をつけることが多く、ケアがとても大切です。
しかし、患部を刺激しない・服用方法を守るなど、結果的には痛みを避ける注意点が多いため、それほど難しくはないでしょう。
静岡市駿河区石田のインプラントセンター、小嶋デンタルクリニックでは、手術後のケアまでしっかりとご説明させていただき、患者様の不安を取り除きます。
無理をせず、医師の指示をしっかり守ることで回復も早まります。今まで不自由していた分、小嶋デンタルクリニックのインプラント治療で安心できる生活をお過ごしください。