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インプラントの医療費控除のやり方を解説!必要書類や注意点も紹介
2024年12月12日
インプラント治療は自費診療でもあるため、入れ歯やブリッジに比べて費用が高額ですが、医療費控除の対象となる場合があります。
しかし、医療費控除とはどのように行うのでしょうか?
この記事では、インプラント治療を行った際の医療費控除の条件、必要な書類、方法や注意点などを紹介します、
治療に関わる領収書などをきちんと保管していれば、それほど難しくない医療費控除のやり方を知れば、他の病気で病院にかかった場合にも役立ちます。
インプラント治療と医療費控除
まずは、医療費控除がどういったものなのかを紹介します。
医療費控除とは
医療費控除とは、医療費がある一定の基準を超えると、確定申告で最高200万円までの控除が受けられる制度のことです。
給与所得者は年末調整によって所得税と住民税を(毎月給料天引きされるなどして)清算しています。
あとから発生した医療費をルールに従って追加で申告すると、課税対象の所得から一定金額が差し引かれるため、払い過ぎた分の所得税が還付され、翌年の住民税は安くなります。
インプラントは高額な治療費がかかりますが、少しでも費用を軽減したい場合は、医療費控除をぜひ行いましょう。
インプラント治療で医療費控除を受けるには
インプラント治療を医療費控除の対象とする場合の条件は以下です。
- 1月1日~12月31日までの医療費が、10万円か所得の5%を超えた場合
- 公共交通機関の交通費
- 審美目的ではない
- 診断書
インプラントはその審美性で医療費控除の対象外と思われがちですが、やむを得ず歯を失った部分にインプラントを埋め込む場合は治療とみなされます。
ただし、インプラント治療が必要であることを証明するために、手術をした歯科医師による診断書が必要です。
また、通院時に必要な交通費についても、必要最低限の費用として考えられる範囲内で対象にできます。
どれが対象になるか判断がつかない場合は、領収書やレシートなどを一旦保存しておくことをおすすめします。
還付される額の計算方法
医療費控除を受けた場合に還付される額は、治療を受けた人の所得税率を元に計算されます。
課税される所得金額 | 所得税率 |
---|---|
1,000円~1,949,000円まで | 5% |
1,950,000円~3,299,000円まで | 10% |
3,300,000円~6,949,000円まで | 20% |
6,950,000円~8,999,000円まで | 23% |
9,000,000円~17,999,000円まで | 33% |
18,000,000円~39,999,000円まで | 40% |
40,000,000円~ | 45% |
※参考:国税庁『所得税の税率』
以下で、所得が200万以下・300万・400万の、それぞれを例として計算してみます。
ここで例として算出された還付金額等はあくまでも試算であり、正確な数字は出せないため、参考程度に留めてください。
1.医療費の総額を求める
還付金を求めるには、まず年間(1月1日~12月31日)の医療費の総額を計算します。
保険診療分は窓口で支払った額の合計を、インプラント治療に関しては費用全額を医療費の総額に含めます。
2.医療費の負担額を求める
医療費を考えるとき、健康保険の高額療養費の還付金や民間で加入している医療保険の保険金など、戻ってくる額は計算に入れないため、医療費の総額から差し引きます。
医療費の負担額=医療費の総額-保険金などの補填額
健康保険の高額療養費の数字は患者さんの給与によって変わり、保険金などの補填額は加入している保険によって変わる部分です。
この計算で出る数字が、患者さんが実際に医療費として負担した額です。
インプラントの場合は、保険金などの補填が受けられないことが多いため、ここでは何も差し引かれないのがほとんどです。
3.医療費控除の対象額を求める
上で求めた医療費の負担額を元に、以下の式で医療費控除の対象額を求めます。
医療費控除対象額=医療費の負担額-総所得金額の5%か10万円のどちらか少ない方
「総所得金額の5%か10万円のどちらか少ない方」は、以下です。
- その年の所得金額が200万円以上……10万円
- その年の所得金額が200万円未満……所得金額に所得税率(5%)を掛けた数字
例えばその年の所得金額が150万円だった場合、この患者さんの医療費控除の対象額は以下のように計算します。
4.還付金を求める
医療費控除の還付金を求める額は以下です。
還付金=医療費控除対象額 × 所得税率
※所得税率は上の表を参考
ここからは、1年間の医療費のうち、
- 保険診療の医療負担がない
- インプラントの治療費の全額が60万円
とした場合の、所得が200万円未満・300万円・400万円の人を例に試算します。
200万円未満(150万円とします)の場合、所得税率は5%です。
(医療費控除対象額)525,000円 × 所得税率5%=26,250円
300万円の場合、所得税率は10%です。
(医療費控除対象額)50万円 × 所得税率10%=50,000円
400万円の場合、所得税率は20%です。
50万円 × 所得税率20%=100,000円
医療費控除額は還付されるだけでなく、翌年の住民税も医療費控除対象額の10%の分、安くなります。
医療費控除対象額が50万円では5万円の住民税が軽減されるため、それぞれ以下の分、翌年の住民税が軽減されます。
- 150万円の人は52,500円
- 300万円と400万円の人は50,000円
所得が400万円の人は還付金10万円の他に安くなる住民税の5万円を合わせて、事実上15万円が戻ってくる計算となります。
申請期間・期限がある
医療費控除は確定申告に適用できますが、申請期間が決まっているため期限を守る必要があります。毎年2月16日~3月15日で、土日にかかる場合は翌日が期限となります。
期限を過ぎても申告はできますが、申告後に納税義務が生じる場合はペナルティがある場合があるため、なるべく期限内に申告するようにしましょう。
5年経ったら申告できなくなるため、還付金があっても受け取れなくなり、住民税を多く徴収されても戻ってきません。
インプラント治療の医療費控除の手順
インプラント治療の医療費控除の手順を紹介します。
リンク先にも詳しい説明があるため、合わせて参考にしてください。
1.条件に当てはまるか確認
まず以下によって、医療費控除の条件に当てはまるかを確認します。
- 1月1日から12月31日までに、医療費の負担額が10万円以上
- その年の1年間の所得金額が200万円未満で、医療費がその5%以上
所得金額とは、得た収入から必要経費を差し引いたもので、会社員の人は給与所得控除が必要経費として差し引かれます。
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得金額にあたります。
2.必要書類を揃える
医療費控除に必要な書類は以下です。
- 確定申告書(様式・作成サイト)
- 診断書(インプラントの手術をした医師によるもの)
- 医療費控除の明細書(様式・作成サイト)
- 領収書(医療費・交通費・医療費通知書など)
- 源泉徴収票(原本)
- マイナンバーまたは本人確認書類(免許証など)
- 他の医療費に対する保険金・高額療養費など補填金額が確認できる書類
- 印鑑
- 還付金振込口座(申告者名義)
領収書・源泉徴収票などは様式への記入と計算のみで提出の義務はありませんが、作成には必要です。
3.医療費控除の明細書を作成する
医療費控除の明細書の様式に、治療を受けた人や病院、負担した金額などを、領収書等を確認しながら記入して作成し、最終的に合計を出します。
手書きでも、電子申請でも作成でき、医療費通知書があれば記入は省略できます(インプラントには医療費通知書はありません)。
以下を参考にしてください。
戻ってくる保険金などの数字も記入するため、最終的な医療費負担が分かります。
医療費控除の明細書の記載例にある赤い⑧の数字が、次の確定申告書の記入に使われる医療費控除額です。
4.確定申告書に記入する
3で計算した医療費控除額を、確定申告書に記載します。
以下を参考にしてください。
医療費控除の明細書の記載例にある赤い⑧の医療費控除額が、確定申告書の記載例にある赤い⑧の欄に入ります。
他にも銀行口座など必要な情報を記入します。
5.提出する
確定申告は電子申請、郵送、直接窓口に持参などで提出できます。
窓口の場合は税務署や、時期になると期限内に市などが開設する申告会場でも提出が可能です。
「やっぱり心配」「難しそう」など不安がある場合は、一通りの書類を持参して、相談しながら作成すると安心です。
予約が必要な場合があるため、先に連絡して相談しましょう。
インプラント治療の医療費控除の注意点
インプラント治療を医療費控除に適用する場合、いくつかの注意点があります。
領収書は5年間、保管する
医療費控除に使用した領収書などの書類は、後ほど提出を求められる場合があります。
その際に提示できないと、証拠不十分として税加算や延滞税などのペナルティが科せられる場合があります。
申告に使用した領収書は5年の保管義務があるため、捨ててはいけません。
申告し損ねた医療費があったら申告し直せる
申告しなかった領収書が後から出てきた場合、5年以内であれば申告し直すことが可能です。
また逆に、「あの時結構払ったけど領収書がない」という場合は、かかった病院に再発行が依頼できないか相談してみましょう。
領収書は発行できなくても、支払証明書など別の形で発行してくれる場合があります。
額が小さい場合はあまり効果がないため、入院など思いのほか大きな額になる場合には申告した方がいいでしょう。
補填金額が確定していない場合
インプラント治療以外でかかった医療費に対しての保険金や高額療養費などが年内に確定しない場合、見込み額を計算して申告することになります。
インプラントはその多くが民間の医療保険の対象外ですが、もし給付金の対象になる場合は、保険会社へ確認したうえで申告する必要があります。
治療日ではなく支払日が対象
インプラント治療の支払いにクレジットを利用した場合、実際の引き落としの日や治療日ではなく、医療機関で支払いをした日が対象となります。
支払処理をした際の明細や、端末の画面などを印刷や撮影するなどして、支払いの事実が分かるようしっかり管理しておきましょう。
分割払いやリボルビング払いを利用した場合の手数料は医療費には含められないため注意しましょう。
生計を共にする人も対象
医療費控除は、扶養している配偶者や、生計を共にしている家族など、申告する本人が医療費を負担している場合は合算できます。
また、医療費控除の還付金は所得税率が高い人が申告をした方がより高い金額が算出されます。
自立している家族などは対象ではありませんが、遠方に住んでいるため仕送りしている家族や学生さんなどを対象として医療費を合算できるため、忘れずに計算しましょう。
セルフメディケーション税制は利用できなくなる
医療費控除と『セルフメディケーション税制』は併用できないため、どちらか一方を選択して申告することになります。
セルフメディケーション税制は、市販薬(OTC医薬品)を利用して不調を手当てした場合の費用を、税金の減額に利用できる特例制度です。
1年間に総額12,000円以上購入した場合、その年に健康診断などを受けていることを条件に適用でき、上限を88,000円として、12,000円を超えた分が所得控除になります。
インプラント治療は医療費控除の対象となりますが、申告の時はセルフメディケーション税制を一緒に利用しないよう気をつけましょう。
まとめ
インプラント治療は高額ですが、代わりに健康的な生活を送れるようになることが、費用以上の価値といえます。
高額な治療費を軽減する制度を最大限に活かしながら、歯のある喜びを手に入れましょう。
小嶋デンタルクリニックは、噛む力や残存する歯と顎を守るためのインプラント治療を行い、患者さんと信頼関係を築きながらメンテナンスをさせて頂きます。
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