Blogブログ
インプラント手術の流れを紹介!術後の症状の経過や術後の注意点も
2024年12月12日
インプラント治療を検討している方は、その手術がどのように進められていくのかを詳しく知りたいと考えるでしょう。
先に見積もりを出してほしい、契約のタイミングがいつなのかなど、高額な費用もかかるゆえの不安もあります。
この記事では、インプラント手術の流れを検討の時点からインプラント装着後まで、通してご紹介します。
流れのなかで痛みなどの症状の移り変わりや注意点も解説するため、治療の後押しになれば幸いです。
インプラント手術は1回法と2回法がある
インプラント手術には1回法と2回法があり、それぞれが行える条件や手術の流れに違いがありますが、基本的には2回法が行われます。
始めに、インプラント手術の2種類の手術法について、それぞれ紹介します。
インプラントは3つの部品からできている
1回法と2回法の回数の違いはインプラントを構成する部品の数が関係しています。
インプラントの基本構造は以下の3つで成り立っています。
- 人工歯……歯を模した『上部構造』
- アバットメント……歯を失った顎に埋め込む『歯根部』
- インプラント体……人工歯冠とインプラント体を結ぶ『支台部』
そして、インプラントには以下の2種類があります。
- ワンピースタイプ……アバットメントとインプラント体が一体化
- ツーピースタイプ……アバットメントとインプラント体が別々
ワンピースタイプは1回法のみで使用され、ツーピースタイプは1回法と2回法の両方で使用できます。
切開が1回で済む1回法
切開が1回で済む1回法はワンピースタイプを使用する術式で、選択するには以下のような条件が必要です。
- 骨の厚みや量が十分である
- 全身疾患がない
- 1回法を行っている歯科医院である
メリットとデメリットは以下です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
術後の管理をしっかり行う必要がありますが、条件に叶う患者さんは1回の切開で済ませられる可能性があるといえるでしょう。
切開を2回行う2回法
切開を2回行う2回法はツーピースタイプを使用してほとんどの症例で行える、インプラントの基本的な術式です。
メリットとデメリットは以下です。
メリット | デメリット |
---|---|
|
|
インプラントは人工歯根であり、天然の歯に比べると抵抗力が弱いため、感染すると急速に進行します。
術後に感染症を起こすとインプラントがぐらついてしまい、せっかく埋入しても抜去しなければいけない事態になりかねません。
2回法は感染のリスクが低いのが一番のメリットでしょう。
インプラント手術の流れ
現在主流となっている2回法を例に、インプラント手術の流れを紹介します。
経過ごとの内容やかかる期間・時間など、インプラント手術を検討している方は治療開始時期の参考にしてください。
1.カウンセリング・相談
インプラント手術を行うにあたって、口腔内の悩みや治療方針、費用や疑問など、納得できるようカウンセリングや相談を行います。
インプラントは自分に合った歯科医院選びが重要です。カウンセリングでしっかり話を聞いてもらったうえで判断することをおすすめします。
最近は無料相談を受け付けていたり、Webで予約が取れたりする歯科医院が増えています。疑問に思うことは遠慮せず尋ねましょう。
2.検査・治療計画→契約
希望する歯科医院を決めたら、検査→治療計画作成→見積り→契約と進みます。治療計画に納得してからの契約になるため、安心してください。
検査は歯周病検査・噛み合わせの確認・CTによる骨密度や骨量の検査などを行います。
そして検査結果と、健康状態や被せものの材質や色・形などを確認して、治療計画を作成、計画に基づいて費用見積りの算出を行います。
作成したら患者さんに説明し、治療内容・費用とも納得したうえで契約に進みます。
3.一次処置・インプラント体を埋入
一次処置では、歯茎の切開→歯根となるインプラント体を埋入→縫合と進みます。
インプラント体を埋めるための穴を開けてインプラント体を埋め込みます。
時間は、麻酔が効くまで10~15分程度、埋入は1本辺り15分程度ですが、本数が多くなったり抜歯や骨再生治療を行う場合などは時間が多くかかります。
麻酔をするため、施術中は痛みはほとんどありません。
4.抜糸
一次処置後、2週間程度で抜糸を行い、必要に応じて仮歯の装着や調整を行い、次の期間中に生活に支障がないよう準備します。15~30分程度で終わります。
抜糸は一般的に麻酔は使用しませんが、チクチクするような痛みを感じる場合はあります。痛みが強い場合は麻酔もできるため、無理をせず相談しましょう。
処置が済んだら、痛みがなければ食事をとっても大丈夫ですが、仮歯は強度が低く、インプラント体もまだまだ定着していません。
食べ物を噛むときは柔らかいものにし、できるだけ仮歯を使わない方が安心です。
5.待機期間
抜歯後は、インプラント体が顎の骨と結合し一体化するまでの待機期間に入ります。
個人差はありますが平均は2~3ヶ月で、この間は特に問題がなければ歯科医院に行く必要はありません。
ただし、この期間中はインプラント体に負荷をかけると結合が進まないため、硬いものや口を大きく開けるようなものは食べないようにしてください。
違和感や痛みなどが生じる場合は歯科医院に連絡して、必要であれば受診しましょう。
6.二次処置
二次処置では再度切開→インプラント体が骨と一体化できているかを確認→一体化できていたらインプラント体にアバットメントを装着→仮歯を装着という流れで処置します。
二次処置では縫合をしないため、施術にかかる時間は1次処置より若干早く終わります。1本辺り15分程度です。
二次処置の施術後は一次処置同様、麻酔が切れるまでは飲食を避け、2~3日はあまり噛まないで済むもの、その後はできるだけ柔らかいもの、刺激の少ないものを食べてください。
そのあとは歯茎の形が整うのを待つため、1~2週間ほど時間を置きます。
7.型取り
患者さんにあった人工歯(上部構造)を入れるための型取りを行います。
アバットメントへの被せものとなりますが、色や形などを周りに馴染むように製作します。
型取りは30分〜60分程度で終わり、この時点ではもう麻酔が必要な治療はありません。
また、人工歯の作製には1~3週間ほどかかります。
8.装着(完成)
出来上がった人工歯をアバットメントに取り付けて治療終了です。
噛み合わせや色など気になるところがないかチェックします。何かあれば修正が可能であるため、その場で申し出てください。
9.メンテナンス・定期検査
インプラントを装着した場合、天然の歯を定期健診するのと同様に、メンテナンスが必要です。30分程度の時間がかかります。
残っている天然歯の虫歯・歯周病チェックや、被せものなどの状態の確認、レントゲン検査・ブラッシング指導・クリーニングなど、ほとんど通常の定期健診と同様の内容ですが、レントゲン検査があるのが天然歯との違いでしょう。
定期健診は3~6ヶ月に1回行い、天然歯に関しては保険診療となりますが、インプラント部位に関しては保証制度を設けて無料で行っている歯科医院もあります。
インプラント手術中の歯が無い期間の過ごし方
インプラント手術中、歯がない期間がおよそ2~6ヶ月間ありますが、その間、仮歯が入るため、全く何も噛めないというわけではありません。
切開のあとは仮歯があっても物を噛むことは避けたいため、スープや流動食など噛まずに飲み込めるものを選んで摂る必要がありますが、その後は仮歯で柔らかいものなら多少噛むことが可能です。
一次処置でインプラント体の埋入が済んだら縫合し、そこで仮歯を装着する歯科医院もありますが、大体は抜糸後に仮歯を入れるのが一般的です。
そして人工歯の装着までの間、治療で通院するたびに、仮歯を調整します。
しかしこの仮歯はプラスチックで強度が弱く、役割としては傷口の保護や審美性・噛み合わせの保持、発音への考慮程度で、通常のように噛むことを想定していません。
人工歯が装着されるまでの仮歯の際は、硬いものや粘着性のあるものを食べないよう、例え食べられてもできるだけ仮歯を使用しないよう気をつけましょう。
インプラント手術後の経過
インプラント手術後の症状の経過をまとめました。
痛みを上手に避ける方法や日常生活についてなどを紹介するため、参考にしてください。
麻酔が切れるのは2~3時間後
インプラント手術後は、局部麻酔の場合は2~3時間後、静脈内鎮静法の場合は3~4時間後に効果が切れます。
麻酔の効果が切れたあとの痛みの度合いについては、人それぞれ強さや感じ方に違いがありますが、麻酔が切れる前に鎮痛剤を服用すると、痛みを避けることができます。
麻酔が効いている間は感覚が鈍っているため、口の中を噛んでしまったり、熱いものなどでやけどしたりする危険性があるため、飲食はおすすめしません。
どうしても我慢できないようであれば、噛まずに飲めるものを選んで摂りましょう。
手術直後は歯科医院で止血をしますが、当日は時間とともに血が滲んでくる可能性があります。清潔なガーゼを15分おき程度に取り替えながら噛んで、圧迫止血を行ってください。
入浴はせず温度が低めのシャワーで済ませましょう。他にも激しい運動、飲酒などは出血や痛みが悪化するため、血行がよくなることは避けてください。
寝ている間に枕に血がにじむことがありますが、通常は翌日には止まるため、タオルなどを敷いて対策しましょう。
術後2~3日の症状
術後2~3日は痛みや腫れのピークを迎えますが、その後は徐々に引いていきます。時間を測りながら効果が切れる前に鎮静剤を飲むようにして、上手く痛みを逃がしましょう。
この頃から、患部付近の頬から顎辺りの皮膚(外側)に暗紫色の内出血斑が見られることがあります。何もしなくても1~2週間できれいに消えます。
食事についても、まだ刺激で痛みが戻ってくることがあるため注意が必要です。
術後1週間程度は、おかゆやスープなど、柔らかいものを選び、辛いものや熱いもの、大きい口を開けて食べるものなどは避けてください。
運動など血行がよくなることもまだやめておきましょう。
~1週間後
術後1週間のうちに、痛みや腫れが徐々に引いていきます。
感染症予防のために抗生物質が処方されますが、指示通りきちんと飲み切りましょう。全て飲まないと効果が発揮されません。
ウォーキング程度の軽い運動は可能ですが、激しい運動はまだしない方がいいでしょう。入浴は4日以降なら温度を低めにして行ってください。
食事もまだまだ柔らかいものを摂りましょう。
1週間~
術後1週間を過ぎると、2週間以内にはほとんど痛みが治まります。そして術後2週間になると抜糸し、ほとんどの場合仮歯の装着となります。
物が噛みやすくなりますが、本格的に使える歯ではなく、インプラントも安定していないため、硬いものはまだ避けましょう。
激しい運動もできるかぎり控えてください。
インプラント手術の注意点
インプラント手術の流れに沿って、痛みや食事についての注意点をこれまで紹介してきましたが、他にも注意したい点があります。
- できれば術後8週間ほど禁煙する
- まれに血液が飛ぶこともあるため、汚れてもいい服装で手術に臨む
- 帰りは運転を避ける
- 歯ブラシを柔らかいものに変える
喫煙は傷口の治りが遅くなるため、できれば完治するまでは禁煙した方がいいでしょう。
静脈内鎮静法の場合、急な眠気やふらつきが起こる可能性があるため、帰りは自動車の運転はできません。
インプラント治療が始まった場合、切開しても歯磨きをやめることはありません。そのため治療中は、患部に万が一触れても安心な、毛先の細い柔らかい歯ブラシに変えることになります。
受診が必要な場合
以下の場合は施術した歯科医院に速やかに受診しましょう。
- 出血、痛み、腫れが続いている。鎮痛剤が効かない
- 鼻血・膿が出る
- よだれが出る・下唇が震える
- 下痢や湿疹が見られる
下痢や湿疹が見られる場合は鎮痛剤や抗生物質が合わない可能性があるため、一旦飲むのをやめて受診しましょう。
外科手術後の異変に我慢は禁物です。悪化する前に連絡するなど、早めに相談してください。
まとめ
インプラント手術の流れを紹介しました。
複雑なその術後経過を知ると、歯科医院の経験や実績を重要とする、専門的な治療だということが分かります。
小嶋デンタルクリニックにはインプラント医学を学び、経験を積み重ね、多くの患者さんに治療を提供してきた実績があります。
インプラント治療をご検討中なら、小嶋デンタルクリニックに一度ご相談ください。ご予約も随時受け付けております。