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インプラントと矯正はどっちが先?場合別の順番や併用のメリットを紹介

2024年12月13日

インプラントと矯正はどっちが先?場合別の順番や併用のメリットを紹介

インプラント治療と歯列矯正の両方を検討している方にとって、どっちを先に行うかは悩ましい問題です。

しかし実際、どちらかを先に行った時点で不都合が生じるようなことはあるのでしょうか?

この記事では、インプラント治療と歯列矯正のどちらを先に行えばいいのか、またその理由、両方とも行うメリットや歯科医院選びなどについて紹介します。

口腔機能を整えるための、目的や治療方法もまったく異なる2つの治療法の進め方をぜひ参考にしてください。

インプラントと歯列矯正

インプラントと歯列矯正

インプラントと歯列矯正の、それぞれがどのような治療であるのかを紹介します。

2つの治療法の、それぞれがどういう改善を求めるどのような治療なのかをまず知ることが必要です。

インプラントとは

インプラントとは、虫歯や歯周病などで失ってしまった歯、または失いかけている歯を補うための治療です。

ブリッジのように健康な歯を削らないうえに、入れ歯のような違和感もありません。自分の歯に近い感覚で使用できるインプラントは、人工歯根を顎の骨に埋入します。

歯茎を切開する外科手術が必要で治療に時間がかかりますが、最終的に装着する人工歯は丈夫で、今ある歯と色も揃えられるため、審美性にも優れています。

歯列矯正とは

歯列矯正とは、天然歯の歯並びや噛み合わせを改善するための治療で、出っ歯や受け口、叢生などが対象です。

審美的な改善のための場合もありますが、正しい歯並びに整えることは口腔内環境の健康を守り機能の向上が見込まれます。

歯を移動するという大変時間のかかる治療ですが、磨きやすい歯並びは虫歯や歯周病のリスクを減らせるため、結果的に全身の健康にもつながります。

インプラントは後から位置を動かせない

インプラントは歯茎を切開して人工歯根(インプラント体)を埋めたあと、2~3ヶ月の待機期間をかけて人工歯根と顎の骨を直接結合させるため、あとから位置を動かすことはできません。

インプラントは人工歯根のため、歯根膜がありません。歯根膜がない場合、歯は動きません。

しかし入れ歯やブリッジなどに比べて、噛んだときの力を顎の骨が受け止められるため、自分の歯としてしっかりと噛むことが可能です。

インプラントは後から位置を動かせないのが分かっているため、人工歯根を埋める時点でコンピューターの最新システムを利用するなどして、埋める位置を慎重に決めています。

矯正治療には歯根膜が必要

上項でも触れましたが、歯列矯正で歯を動かすためには、顎の骨と歯の間に存在している弾力のある薄い膜である『歯根膜』の働きが重要です。

歯根膜には、噛む力がかかるときにその衝撃を和らげる緩衝材のような役割があります。

歯列矯正の装置を取り付けると、移動させたい方に向かって負荷がかかるようになっていて、押される方の歯根膜は縮み、離される方の歯根膜は薄く引き伸ばされます。

歯根膜は厚みを一定に保とうとする性質があります。押されて縮むと厚みを戻そうとしますが、その際、骨を溶かす『砕骨細胞』が現れ周辺の顎の骨を溶かして場所を開けようとします。

薄く伸ばされると、骨を作る『骨芽細胞』が現れ周辺の顎の骨を厚くして、やはり歯根膜を元の厚みに戻そうとします。

インプラントは歯根膜がないため動かすことができませんが、歯列矯正は歯根膜の働きを利用して歯を動かすことが可能です。

インプラントと歯列矯正は同時進行ができない

患者さんがインプラントと歯列矯正のどちらも希望している場合、併用はできますが基本的に同時進行は行いません。

インプラントは手術後に待機期間を取って顎の骨と人工歯根を結合させるため、そこで矯正治療を始めるとインプラントが固定できず不安定になる可能性があります。

また、インプラントと矯正を同じ歯科医院で行うのは稀で、ほとんどが別々の歯科医院で行われるため、十分な連携がとれなければ成立しません。

インプラントと歯列矯正をする部位が関連のない部位同士であれば同時進行は可能です。それ以外の場合はよほど条件が揃わないとリスクが伴います。

どちらかを先に行い、適切な順番で行う場合がほとんどです。

インプラントと歯列矯正の順番

インプラントと歯列矯正の順番

インプラントと歯列矯正の順番について紹介します。

以下にある通り、基本的には歯列矯正が先ですが、インプラントを敢えて先にする、すでにインプラントをしている人が歯列矯正を希望する場合など、ケースはさまざまです。

基本的には歯列矯正が先

インプラント後は歯を動かすことができないため、インプラントと歯列矯正の順番については、基本的には歯列矯正を先に行います。

また、歯列矯正を先に行うと、歯を適切な位置に動かすことで、インプラントを埋めやすく治療しやすい環境に整えられます。

インプラント治療をどの時点で開始するかは、歯科医師と相談しながら進めることが多いですが、口内の状態などケースによって異なるため主治医が判断します。

インプラント治療を先にする場合

インプラント治療を先にした方がいい場合や、すでにインプラントをしている状態で歯列矯正を希望される場合にも対応できる場合があります。

インプラント治療を先にする場合を紹介します。

抜歯したあとに長く放置したくない場合

インプラント治療を先にする場合で多いのは、抜歯をしたあとに長く放置することで、問題が起こる可能性があるケースです。

歯がないことで食事が摂れない、発音が上手くできず話ができない、息苦しさなど呼吸に影響がある場合などです。

また、歯がない状態を放置することで隣の歯が動く可能性が高い場合や、歯がなくなってから長く時間が経ちすぎて、顎の骨が痩せてしまっている場合などもあります。

このような場合は、先にインプラント治療をして問題を解決する必要があるため、歯列矯正はあとになります。

インプラントにすることで矯正に活かせる場合

インプラント治療をした歯を歯列矯正に活かせる場合、インプラント治療が先に行われるケースがあります。

歯列矯正には固定源が必要であり、固定源の確保が歯列矯正の成否に関わります。

状態のよいインプラントは立派な固定源になりうるため、主治医の判断によって、インプラント担当の歯科医師と連携を取りながら、インプラント治療を先立ちとした併用が行われます。

インプラントがすでに入っている場合

すでにインプラント治療が行われていて、あとから患者さんによる歯列矯正の希望があった場合は、患者さんの希望になるべく近づけるための治療計画が立てられます。

インプラントは動かないため、その歯を中心としてできる範囲での歯列矯正を行います。

全く不可能ではありませんが、多少苦労するところがあるのは否めません。

それでも、患者さんの希望をしっかりと聞き取り、相談しながら治療を進めていく形になるでしょう。

歯列矯正を一旦止めてインプラントという方法も

歯列矯正中に、何らかの理由でインプラント治療が必要になった場合、一旦歯列矯正を止めてインプラント治療をする場合があります。

その場合、インプラントが安定し治療を完全に終えてから歯列矯正を再開させます。

歯列矯正との調整のためにインプラントの位置を慎重に見直すなど、綿密な計画と医師の技術、十分な連携が必要となる高度な治療となります。

インプラントと歯列矯正を両方受けるメリット

インプラントと歯列矯正を両方受けるメリット

インプラントと歯列矯正が両方必要なケースには以下があります。

  • 長期間にわたり歯がないため、歯が動いて噛み合わせが悪くなっている
  • 虫歯や歯周病が原因で抜歯するためインプラントを入れたいが、矯正もしたい
  • インプラントにしたいが、顎の骨が弱くなっている
  • 矯正中になんらかの理由でインプラントが必要になった

このような場合にこの2つの治療法を併用するという選択肢があります。

その際のメリットについて紹介します。

インプラントのためのスペースを確保できる

歯が抜けてから長く放置していると、隣の歯が移動してきたり、噛み合わせる歯が伸びてきたりするなどで噛み合わせが狂い、トラブルの原因となります。

部分矯正によって抜けた歯の部位にスペースが確保できれば、インプラントを埋められて、全身の健康に影響のある噛み合わせなどが改善できます。

インプラントの本数を減らせる

抜けた歯が1本ではない場合、開いたところ全部にインプラントを入れるより、歯のない部分を歯科矯正でまとめると、インプラントの本数を減らせます。

インプラントは高額であり、治療自体も歯茎切開が2度あったり、数日痛みが続く苦労もあったりするため、埋入する本数を減らせるのは、経済的にも身体的にも負担軽減となります。

インプラントを長持ちさせられる

歯科矯正で噛み合わせを少しでも良くすることで噛み合わせが整うため、インプラントの歯に偏った負荷をかけることを避けられます。

必要以上の負荷をかけ続けると、インプラントを長持ちさせることが難しくなります。

適切な負荷で使用すれば、インプラントの負担を減らすことが可能です。

骨吸収で痩せた骨を避けてインプラントを埋入できる

インプラントを入れたい部位の顎の骨が痩せてしまっている場合、歯列矯正で隣の元気な歯を敢えて欠損した部位へ移動させ、その歯があったところのスペースを広げ、そこにインプラントを埋入する方法があります。

歯がない状態が長く続くと、顎の骨の吸収が進んで痩せてしまい、インプラント治療ができなくなります。人の骨は使わないと衰えるためです。

そして、インプラントは顎の骨の厚みなど、ある程度の骨量がないと埋入できません。

歯列矯正で歯の1本分のスペースを開けてからのインプラントとなるため、時間は少々かかります。

しかし元気な歯には歯根膜があるため、移動先で骨芽細胞が活躍する頃には顎の骨も増えています。

元々元気な歯があったところにインプラント手術ができます。

インプラントと矯正を両方行う場合の医院選び

インプラントと矯正を両方行う場合の医院選び

インプラントと歯列矯正を併用して行う場合の医院選びは極めて重要です。

本来ならインプラントと歯列矯正の両方に対応した歯科医院が最適です。

しかしこの2つの治療方法を併用して行うにはどちらの医師も専門医レベルでなければ難しく、条件を満たせる歯科医院はきわめて稀でしょう。

別々の歯科医院を受診して、希望を相談し、それぞれに治療計画を立案してもらって連携をとってもらうことになるかもしれません。

医院選びが大変難しいですが、できればインプラントと歯列矯正のどちらにも対応できる歯科医院がおすすめです。

インプラントや差し歯があっても矯正は可能?

インプラントや差し歯があっても矯正は可能?

結論からいうと、インプラントや差し歯があっても歯列矯正は可能です。

差し歯とは人工の被せもののことで、神経に達した虫歯を大きく削って土台を作り、型取りをして作製した被せものをした歯のことです。

差し歯は歯根膜があるため歯列矯正ができますが、神経を抜いている場合は動きが悪い場合や、歯根が脆くなっていて折れる可能性があります。

また、矯正装置を使用する場合、外すときなどに被せものに傷が付く場合もあります。

しかし、そのような条件はあるとしても、負荷の調整などがきちんとできれば、差し歯に対して歯列矯正は可能です。

インプラントの場合、インプラント自体は歯列矯正をしても動きません。しかし、歯列矯正をしたい歯がインプラントではない場合は歯列矯正はできます。

場合によって、インプラントの歯を基準とした歯列矯正も可能です。

このように、インプラントも差し歯も、状況に合わせた歯列矯正は可能です。

まとめ

インプラントと歯列矯正は、それぞれが技術や経験の必要な簡単ではない治療ですが、組み合わせることで、とても心強い治療法となります。

両方検討している人は医院選びに力を注ぎ、なるべく希望が叶えられるように、治療計画の時点から担当医師にしっかり相談させてもらいましょう。

小嶋デンタルクリニックでは、インプラントも歯列矯正も行っています。

インプラントと歯列矯正の併用に悩んでいるなら小嶋デンタルクリニックにぜひ一度、詳しいお話をお聞かせください。