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インプラントのアバットメントとは?役割や種類、装着時の注意点を紹介

インプラントのアバットメントとは?役割や種類、装着時の注意点を紹介

インプラントにはアバットメントと呼ばれる重要なパーツがあります。

見た目を左右し、噛み合わせのための微調整などの重要な役割があり、インプラント治療の成功を左右するパーツといえます。

この記事では、アバットメントを組み込むタイミングや役割・種類、装着時の注意点などを紹介します。

アバットメントを正しく装着することはインプラントを長持ちさせるポイントとなるため、ぜひ参考にしてください。

アバットメントとは

アバットメントとは

アバットメントとは、インプラント治療に必要なパーツの名称です。

はじめに、アバットメントの役割や使用方法などについて紹介します。

インプラントを構成する部品の一つ

アバットメントとは、インプラントを構成する部品の一つで、他のパーツ同士を連結するという大変重要な役割があります。

インプラントは3つのパーツで構成されています。

  • インプラント体(人工歯根)
  • アバットメント(土台)
  • 人工歯冠(上部構造)

アバットメントは、顎の骨に埋入されるインプラント体と、インプラントの一番上に被せられる人工歯冠とを連結するパーツです。

連結の他にもさまざまな役割を果たすパーツであり、アバットメントがあるおかげで、インプラントは自前の歯のように違和感なく物を噛めるといえるでしょう。

アバットメントを組み込むタイミング

アバットメントには2種類あり、術式によって使い分けますが、どちらを使用するかによって組み込むタイミングも変わります。

術式と使用するアバットメントの種類は以下です。

1ピースタイプ 2ピースタイプ
使用する
術式
一回法(歯茎の切開が1回)

顎の骨に十分な厚みがある場合にできる術式

二回法(歯茎の切開が2回)

ほとんどの症例でできる術式
※一回法にも使用可

形状 インプラント体とアバットメントが一体化 インプラント体・アバットメント・人工歯冠の3つで構成
組み込む
タイミング
1回目の切開時 2回目の切開時

一回法は切開後に1ピースタイプのパーツを埋め込み、歯肉から少し出た状態のまま、縫合しません。

二回法では一度目の切開時にインプラント体を埋め込んで縫合し、3~6ヶ月の間インプラント体と骨が結合するのを待ち、その後もう一度切開してアバットメントを装着する方法です。

インプラント治療の主流は二回法で、一回法を行っていない歯科医院もあります。

どちらの術式を行うかは歯科医師の判断によります。

ネジを締めて連結

1ピースタイプはインプラント体と一体化しているため単独の装着はありませんが、2ピースタイプの場合、アバットメントがインプラント体と人工歯冠をネジによって連結します。

1ピースタイプはネジの緩みの心配がなく、強度に優れています。

ネジは長期間の使用によって緩むこともあるため、定期健診での調整が必要ですが、ネジであるおかげで取り外しができるため、不具合が発生しても微調整が可能です。

アバットメントの役割

アバットメントの役割

アバットメントは、インプラントを装着するにあたってさまざまな役割をこなす優秀なパーツです。

ここでは、2ピースタイプにおいて単独で装着されるアバットメントの役割について紹介します。

インプラント体と人工歯冠を連結する

アバットメントの主な役割は、インプラント体と人工歯冠を連結することです。

2ピースタイプは3つにパーツが分かれていますが、連結が必要な構造にすることで、取り外しが可能となっています。

どこかに不具合が発生してもアバットメントがあるため、微調整やメンテナンスなどが簡単に行えます。

インプラントの強度を上げる

アバットメントにはクッションのような役割があるため、インプラント体の強度が上がります。

インプラントが強い衝撃を受けた際、アバットメントがその衝撃を受け止めて折れることで、人工歯冠とインプラント体を守ることが可能となります。

また、インプラント体に負荷を直接伝えないため、日常で使用するうえでの咀嚼のダメージも和らげます。

長く使うためのインプラントの強度は、アバットメントによって高められています。

上部構造の傾きを補正し、保護する

アバットメントには、インプラント体が埋め込まれた角度によって生じる人工歯冠の傾きを補正する働きがあり、偏った負荷をかけないことで人工歯冠を保護します。

顎の骨の状態によっては、インプラント体をまっすぐ埋入できない場合があります。

適さない角度での咀嚼で無理な力がかかると人工歯冠の耐久性にも影響し、審美的にも正常な仕上がりとはいえないでしょう。

アバットメントにはそういった問題を解決するための、傾きの調整ができる構造をしています。

噛み合わせの高さを調整

アバットメントには傾き調整の他にも、噛み合わせに影響する高さの調整も可能です。

インプラント体は顎の骨に埋め込みますが、その厚さや状態などは人それぞれに違いがあり、微妙な高さまで調整して埋め込むのは傾き同様至難の業です。

アバットメントはネジによって連結されているため、患者さんの噛み合わせに適した高さ調整が可能です。

インプラント体を目立たせない

アバットメントがあると、金属製のインプラント体が目に付くことがほぼないため、審美性が保てます。

インプラントにはアバットメントがあるため、インプラント体の上部が完全に歯茎に隠れるように埋めることができます。

もしインプラントにアバットメントがなければ、歯周病や老化などで歯茎が下がってきた場合、インプラント体が見えてしまいます。

アバットメントがあれば、歯茎が下がっても見えるのはアバットメントです。しかしそのアバットメントも金属の場合は目立ちます。

アバットメントにはさまざまな種類があるため、審美性を重んじるのであれば、素材を選ぶことで歯茎にトラブルが生じても見た目を損なうことがないでしょう。

アバットメントの種類

アバットメントの種類

アバットメントには紹介したようにさまざまな役割があります。どの役割に重きを置くかで選ぶアバットメントが違ってきます。

ここでは、アバットメントの種類によって変わる特徴や、メリット・デメリットを紹介します。

なお、費用が高額なものから順番に紹介しているため、ご参考ください。

ジルコニア

酸化ジルコニウムが使われているジルコニアは、その硬さが金属に匹敵するセラミック(石)です。

白色の素材であり、金属が溶けだすことでの歯茎の変色などがなく、歯茎が下がってアバットメントが見えても審美性が保たれます。

デメリットは、自然歯よりも硬いため、周囲の歯や噛み合わせの歯を傷める可能性があることです。

金属アレルギーの心配がないため、インプラント体もジルコニアで製作することが可能です。

金合金

金を合金した金属で、硬さがほどよく生体親和性と展延性(破断せず柔軟に変形する性質)が高いため、人工歯根の素材に適しています。

一方金は費用が高くなりがちであるのと、歯茎が下がった時に金色の素材が目立つところがデメリットです。

チタン合金

チタンやアルミニウムなどで構成されたチタン合金は強度・耐食性・耐久性に優れた素材で寿命が長く、多く使われている素材です。

骨と結合しやすく、歯茎に密着しやすいためインプラントが固定されやすいというメリットがあります。

金属のため、金と同じで歯茎が下がると目立ちます。費用は純チタンよりはやや高く、金合金よりは安価です。

純チタン

99%ほどをチタンが占めている純チタンのアバットメントです。

チタン合金より費用が抑えられ、加工もしやすい反面、チタン合金よりも耐食性や強度が低いところが難点です。

チタンはアレルギーを起こしにくく、インプラント体のほとんどが純チタンかチタン合金です。

同じチタンでもインプラント体と素材を合わせるとひずみ等が生じにくいため、インプラント体が純チタンであればアバットメントも純チタンにすると、装置としての寿命が延びやすくなります。

プラスチック

プラスチックのアバットメントは天然の歯よりも強度が低く、実用には適していません。

インプラント治療中の仮歯のときに、短期的に利用されます。

もし仮歯で使用しているときに破損しても、最終的にはもっと強度のある素材を使用して治療を完了するため、心配はいりません。

1ピースタイプ

1ピースタイプは、インプラント体とアバットメントが一体化しているため、アバットメント部分に問題が起こった場合、アバットメントだけ外すということができず、インプラント体ごと除去する必要があります。

加えて、人工歯冠の微妙な角度の調整ができないため、歯冠の形状で調整するのみとなります。

しかし、ねじ止めではないためねじの緩みの心配がありません。

一体化しているため強度が高く、シンプルな構造のため問題が起こりにくい、切開は1回、費用が抑えられるなど、メリットもいくつかあります。

1ピースタイプは、顎の骨に十分な厚みがある場合に行える一回法でしか使用されないため、誰にでも選べるパーツではありません。

ヒーリングアバットメント

ヒーリングアバットメントは、一回法の術式で2ピースタイプのパーツを使用する際に、切開後のインプラント埋入後にアバットメントの代わりとして一時的に入れるアバットメントです。

通常のアバットメントと比べると少し背が高く、着けることでインプラント体が安定するため、骨との結合を促進します。

他にもスペース確保や傷口の保護などの役割を担い、後日、通常のアバットメントと交換します。

アバットメント装着時の注意点

アバットメント装着時の注意点

アバットメントの装着時の注意点を紹介します。

以下のような場合はアバットメントに何か問題が起こっているかもしれないため、我慢せず早めに主治医に相談しましょう。

噛み合わせが悪く感じる

アバットメントの装着に何か問題が起こっていると、噛み合わせが悪いように感じる場合があります。

アバットメントは調整によって噛み合わせの改善が可能なパーツです。

噛み合わせが悪いまま使用を続けると、インプラント体に偏った圧力がかかるため、咀嚼に支障をきたし、発音も悪くなる場合があります。

歯科医院に早急に連絡して、調整するなど対応してもらいましょう。

痛みを感じる

アバットメント装着後に痛みを感じる場合は、アバットメントの緩みなど何かしらの問題が起こって、顎の骨の負担が増えている可能性があります。

そのまま使用を続けていると、人工歯冠やインプラント体が破損したり、顎の骨に炎症が起こる危険性があります。

アバットメントの緩み程度であれば対応は容易な場合がほとんどです。様子を見たりせず、すぐに治療を行った歯科医院を受診してください。

インプラント体が脱落する

インプラント体の脱落は、アバットメント装着後の深刻なトラブルです。

脱落が起こる原因は、アバットメントが外れたり緩んだりすることとされています。

インプラント体の脱落は、インプラント治療の失敗を意味します。

痛みを感じたりぐらついたりしている時点ですぐに対応できれば、脱落を避けられるかもしれません。

もしインプラント体が抜けてしまった場合は、自分で挿し直すことは感染症を引き起こす危険性があるため厳禁です。

脱落したパーツは再利用できることが少なくありません。全て保管し、できるだけ早く受診してください。

ティッシュなどにくるむとゴミと間違えて捨ててしまうことがあるため、中身が見える透明なケースなどにいれ、破損のないようしっかり保管し、持参しましょう。

まとめ

インプラントのパーツは、さまざまな口腔内の症例になるべく多くに対応できるよう、とても優秀な機能と技術を結集して用意されています。

高額な費用と長い時間をかけてでも行うインプラント治療は、自分の歯で遠慮なく食事ができるという、何物にも代えがたい日常を取り戻すことができます。

アバットメントはその中でも重要な役割のためにあるパーツです。治療完了後は定期健診によって、しっかりとメンテナンスしていきましょう。

小嶋デンタルクリニックには、開院以来多くのインプラント治療に携わってきた実績があるからこそ提供できる治療があります。

最近では、他院で受けたインプラント治療についても相談を多数いただいています。

ご相談だけでも結構です。小嶋デンタルクリニックにお気軽にお問い合わせ下さい。

インプラントと矯正はどっちが先?場合別の順番や併用のメリットを紹介

インプラントと矯正はどっちが先?場合別の順番や併用のメリットを紹介

インプラント治療と歯列矯正の両方を検討している方にとって、どっちを先に行うかは悩ましい問題です。

しかし実際、どちらかを先に行った時点で不都合が生じるようなことはあるのでしょうか?

この記事では、インプラント治療と歯列矯正のどちらを先に行えばいいのか、またその理由、両方とも行うメリットや歯科医院選びなどについて紹介します。

口腔機能を整えるための、目的や治療方法もまったく異なる2つの治療法の進め方をぜひ参考にしてください。

インプラントと歯列矯正

インプラントと歯列矯正

インプラントと歯列矯正の、それぞれがどのような治療であるのかを紹介します。

2つの治療法の、それぞれがどういう改善を求めるどのような治療なのかをまず知ることが必要です。

インプラントとは

インプラントとは、虫歯や歯周病などで失ってしまった歯、または失いかけている歯を補うための治療です。

ブリッジのように健康な歯を削らないうえに、入れ歯のような違和感もありません。自分の歯に近い感覚で使用できるインプラントは、人工歯根を顎の骨に埋入します。

歯茎を切開する外科手術が必要で治療に時間がかかりますが、最終的に装着する人工歯は丈夫で、今ある歯と色も揃えられるため、審美性にも優れています。

歯列矯正とは

歯列矯正とは、天然歯の歯並びや噛み合わせを改善するための治療で、出っ歯や受け口、叢生などが対象です。

審美的な改善のための場合もありますが、正しい歯並びに整えることは口腔内環境の健康を守り機能の向上が見込まれます。

歯を移動するという大変時間のかかる治療ですが、磨きやすい歯並びは虫歯や歯周病のリスクを減らせるため、結果的に全身の健康にもつながります。

インプラントは後から位置を動かせない

インプラントは歯茎を切開して人工歯根(インプラント体)を埋めたあと、2~3ヶ月の待機期間をかけて人工歯根と顎の骨を直接結合させるため、あとから位置を動かすことはできません。

インプラントは人工歯根のため、歯根膜がありません。歯根膜がない場合、歯は動きません。

しかし入れ歯やブリッジなどに比べて、噛んだときの力を顎の骨が受け止められるため、自分の歯としてしっかりと噛むことが可能です。

インプラントは後から位置を動かせないのが分かっているため、人工歯根を埋める時点でコンピューターの最新システムを利用するなどして、埋める位置を慎重に決めています。

矯正治療には歯根膜が必要

上項でも触れましたが、歯列矯正で歯を動かすためには、顎の骨と歯の間に存在している弾力のある薄い膜である『歯根膜』の働きが重要です。

歯根膜には、噛む力がかかるときにその衝撃を和らげる緩衝材のような役割があります。

歯列矯正の装置を取り付けると、移動させたい方に向かって負荷がかかるようになっていて、押される方の歯根膜は縮み、離される方の歯根膜は薄く引き伸ばされます。

歯根膜は厚みを一定に保とうとする性質があります。押されて縮むと厚みを戻そうとしますが、その際、骨を溶かす『砕骨細胞』が現れ周辺の顎の骨を溶かして場所を開けようとします。

薄く伸ばされると、骨を作る『骨芽細胞』が現れ周辺の顎の骨を厚くして、やはり歯根膜を元の厚みに戻そうとします。

インプラントは歯根膜がないため動かすことができませんが、歯列矯正は歯根膜の働きを利用して歯を動かすことが可能です。

インプラントと歯列矯正は同時進行ができない

患者さんがインプラントと歯列矯正のどちらも希望している場合、併用はできますが基本的に同時進行は行いません。

インプラントは手術後に待機期間を取って顎の骨と人工歯根を結合させるため、そこで矯正治療を始めるとインプラントが固定できず不安定になる可能性があります。

また、インプラントと矯正を同じ歯科医院で行うのは稀で、ほとんどが別々の歯科医院で行われるため、十分な連携がとれなければ成立しません。

インプラントと歯列矯正をする部位が関連のない部位同士であれば同時進行は可能です。それ以外の場合はよほど条件が揃わないとリスクが伴います。

どちらかを先に行い、適切な順番で行う場合がほとんどです。

インプラントと歯列矯正の順番

インプラントと歯列矯正の順番

インプラントと歯列矯正の順番について紹介します。

以下にある通り、基本的には歯列矯正が先ですが、インプラントを敢えて先にする、すでにインプラントをしている人が歯列矯正を希望する場合など、ケースはさまざまです。

基本的には歯列矯正が先

インプラント後は歯を動かすことができないため、インプラントと歯列矯正の順番については、基本的には歯列矯正を先に行います。

また、歯列矯正を先に行うと、歯を適切な位置に動かすことで、インプラントを埋めやすく治療しやすい環境に整えられます。

インプラント治療をどの時点で開始するかは、歯科医師と相談しながら進めることが多いですが、口内の状態などケースによって異なるため主治医が判断します。

インプラント治療を先にする場合

インプラント治療を先にした方がいい場合や、すでにインプラントをしている状態で歯列矯正を希望される場合にも対応できる場合があります。

インプラント治療を先にする場合を紹介します。

抜歯したあとに長く放置したくない場合

インプラント治療を先にする場合で多いのは、抜歯をしたあとに長く放置することで、問題が起こる可能性があるケースです。

歯がないことで食事が摂れない、発音が上手くできず話ができない、息苦しさなど呼吸に影響がある場合などです。

また、歯がない状態を放置することで隣の歯が動く可能性が高い場合や、歯がなくなってから長く時間が経ちすぎて、顎の骨が痩せてしまっている場合などもあります。

このような場合は、先にインプラント治療をして問題を解決する必要があるため、歯列矯正はあとになります。

インプラントにすることで矯正に活かせる場合

インプラント治療をした歯を歯列矯正に活かせる場合、インプラント治療が先に行われるケースがあります。

歯列矯正には固定源が必要であり、固定源の確保が歯列矯正の成否に関わります。

状態のよいインプラントは立派な固定源になりうるため、主治医の判断によって、インプラント担当の歯科医師と連携を取りながら、インプラント治療を先立ちとした併用が行われます。

インプラントがすでに入っている場合

すでにインプラント治療が行われていて、あとから患者さんによる歯列矯正の希望があった場合は、患者さんの希望になるべく近づけるための治療計画が立てられます。

インプラントは動かないため、その歯を中心としてできる範囲での歯列矯正を行います。

全く不可能ではありませんが、多少苦労するところがあるのは否めません。

それでも、患者さんの希望をしっかりと聞き取り、相談しながら治療を進めていく形になるでしょう。

歯列矯正を一旦止めてインプラントという方法も

歯列矯正中に、何らかの理由でインプラント治療が必要になった場合、一旦歯列矯正を止めてインプラント治療をする場合があります。

その場合、インプラントが安定し治療を完全に終えてから歯列矯正を再開させます。

歯列矯正との調整のためにインプラントの位置を慎重に見直すなど、綿密な計画と医師の技術、十分な連携が必要となる高度な治療となります。

インプラントと歯列矯正を両方受けるメリット

インプラントと歯列矯正を両方受けるメリット

インプラントと歯列矯正が両方必要なケースには以下があります。

  • 長期間にわたり歯がないため、歯が動いて噛み合わせが悪くなっている
  • 虫歯や歯周病が原因で抜歯するためインプラントを入れたいが、矯正もしたい
  • インプラントにしたいが、顎の骨が弱くなっている
  • 矯正中になんらかの理由でインプラントが必要になった

このような場合にこの2つの治療法を併用するという選択肢があります。

その際のメリットについて紹介します。

インプラントのためのスペースを確保できる

歯が抜けてから長く放置していると、隣の歯が移動してきたり、噛み合わせる歯が伸びてきたりするなどで噛み合わせが狂い、トラブルの原因となります。

部分矯正によって抜けた歯の部位にスペースが確保できれば、インプラントを埋められて、全身の健康に影響のある噛み合わせなどが改善できます。

インプラントの本数を減らせる

抜けた歯が1本ではない場合、開いたところ全部にインプラントを入れるより、歯のない部分を歯科矯正でまとめると、インプラントの本数を減らせます。

インプラントは高額であり、治療自体も歯茎切開が2度あったり、数日痛みが続く苦労もあったりするため、埋入する本数を減らせるのは、経済的にも身体的にも負担軽減となります。

インプラントを長持ちさせられる

歯科矯正で噛み合わせを少しでも良くすることで噛み合わせが整うため、インプラントの歯に偏った負荷をかけることを避けられます。

必要以上の負荷をかけ続けると、インプラントを長持ちさせることが難しくなります。

適切な負荷で使用すれば、インプラントの負担を減らすことが可能です。

骨吸収で痩せた骨を避けてインプラントを埋入できる

インプラントを入れたい部位の顎の骨が痩せてしまっている場合、歯列矯正で隣の元気な歯を敢えて欠損した部位へ移動させ、その歯があったところのスペースを広げ、そこにインプラントを埋入する方法があります。

歯がない状態が長く続くと、顎の骨の吸収が進んで痩せてしまい、インプラント治療ができなくなります。人の骨は使わないと衰えるためです。

そして、インプラントは顎の骨の厚みなど、ある程度の骨量がないと埋入できません。

歯列矯正で歯の1本分のスペースを開けてからのインプラントとなるため、時間は少々かかります。

しかし元気な歯には歯根膜があるため、移動先で骨芽細胞が活躍する頃には顎の骨も増えています。

元々元気な歯があったところにインプラント手術ができます。

インプラントと矯正を両方行う場合の医院選び

インプラントと矯正を両方行う場合の医院選び

インプラントと歯列矯正を併用して行う場合の医院選びは極めて重要です。

本来ならインプラントと歯列矯正の両方に対応した歯科医院が最適です。

しかしこの2つの治療方法を併用して行うにはどちらの医師も専門医レベルでなければ難しく、条件を満たせる歯科医院はきわめて稀でしょう。

別々の歯科医院を受診して、希望を相談し、それぞれに治療計画を立案してもらって連携をとってもらうことになるかもしれません。

医院選びが大変難しいですが、できればインプラントと歯列矯正のどちらにも対応できる歯科医院がおすすめです。

インプラントや差し歯があっても矯正は可能?

インプラントや差し歯があっても矯正は可能?

結論からいうと、インプラントや差し歯があっても歯列矯正は可能です。

差し歯とは人工の被せもののことで、神経に達した虫歯を大きく削って土台を作り、型取りをして作製した被せものをした歯のことです。

差し歯は歯根膜があるため歯列矯正ができますが、神経を抜いている場合は動きが悪い場合や、歯根が脆くなっていて折れる可能性があります。

また、矯正装置を使用する場合、外すときなどに被せものに傷が付く場合もあります。

しかし、そのような条件はあるとしても、負荷の調整などがきちんとできれば、差し歯に対して歯列矯正は可能です。

インプラントの場合、インプラント自体は歯列矯正をしても動きません。しかし、歯列矯正をしたい歯がインプラントではない場合は歯列矯正はできます。

場合によって、インプラントの歯を基準とした歯列矯正も可能です。

このように、インプラントも差し歯も、状況に合わせた歯列矯正は可能です。

まとめ

インプラントと歯列矯正は、それぞれが技術や経験の必要な簡単ではない治療ですが、組み合わせることで、とても心強い治療法となります。

両方検討している人は医院選びに力を注ぎ、なるべく希望が叶えられるように、治療計画の時点から担当医師にしっかり相談させてもらいましょう。

小嶋デンタルクリニックでは、インプラントも歯列矯正も行っています。

インプラントと歯列矯正の併用に悩んでいるなら小嶋デンタルクリニックにぜひ一度、詳しいお話をお聞かせください。

インプラントの医療費控除のやり方を解説!必要書類や注意点も紹介

インプラントの医療費控除のやり方を解説!必要書類や注意点も紹介

インプラント治療は自費診療でもあるため、入れ歯やブリッジに比べて費用が高額ですが、医療費控除の対象となる場合があります。

しかし、医療費控除とはどのように行うのでしょうか?

この記事では、インプラント治療を行った際の医療費控除の条件、必要な書類、方法や注意点などを紹介します、

治療に関わる領収書などをきちんと保管していれば、それほど難しくない医療費控除のやり方を知れば、他の病気で病院にかかった場合にも役立ちます。

インプラント治療と医療費控除

インプラント治療と医療費控除

まずは、医療費控除がどういったものなのかを紹介します。

医療費控除とは

医療費控除とは、医療費がある一定の基準を超えると、確定申告で最高200万円までの控除が受けられる制度のことです。

給与所得者は年末調整によって所得税と住民税を(毎月給料天引きされるなどして)清算しています。

あとから発生した医療費をルールに従って追加で申告すると、課税対象の所得から一定金額が差し引かれるため、払い過ぎた分の所得税が還付され、翌年の住民税は安くなります。

インプラントは高額な治療費がかかりますが、少しでも費用を軽減したい場合は、医療費控除をぜひ行いましょう。

インプラント治療で医療費控除を受けるには

インプラント治療を医療費控除の対象とする場合の条件は以下です。

  • 1月1日~12月31日までの医療費が、10万円か所得の5%を超えた場合
  • 公共交通機関の交通費
  • 審美目的ではない
  • 診断書

インプラントはその審美性で医療費控除の対象外と思われがちですが、やむを得ず歯を失った部分にインプラントを埋め込む場合は治療とみなされます。

ただし、インプラント治療が必要であることを証明するために、手術をした歯科医師による診断書が必要です。

また、通院時に必要な交通費についても、必要最低限の費用として考えられる範囲内で対象にできます。

どれが対象になるか判断がつかない場合は、領収書やレシートなどを一旦保存しておくことをおすすめします。

還付される額の計算方法

医療費控除を受けた場合に還付される額は、治療を受けた人の所得税率を元に計算されます。

課税される所得金額 所得税率
1,000円~1,949,000円まで 5%
1,950,000円~3,299,000円まで 10%
3,300,000円~6,949,000円まで 20%
6,950,000円~8,999,000円まで 23%
9,000,000円~17,999,000円まで 33%
18,000,000円~39,999,000円まで 40%
40,000,000円~ 45%

※参考:国税庁『所得税の税率』

以下で、所得が200万以下・300万・400万の、それぞれを例として計算してみます。

ここで例として算出された還付金額等はあくまでも試算であり、正確な数字は出せないため、参考程度に留めてください。

1.医療費の総額を求める

還付金を求めるには、まず年間(1月1日~12月31日)の医療費の総額を計算します。

保険診療分は窓口で支払った額の合計を、インプラント治療に関しては費用全額を医療費の総額に含めます。

2.医療費の負担額を求める

医療費を考えるとき、健康保険の高額療養費の還付金や民間で加入している医療保険の保険金など、戻ってくる額は計算に入れないため、医療費の総額から差し引きます。

医療費の負担額=医療費の総額-保険金などの補填額

健康保険の高額療養費の数字は患者さんの給与によって変わり、保険金などの補填額は加入している保険によって変わる部分です。

この計算で出る数字が、患者さんが実際に医療費として負担した額です。

インプラントの場合は、保険金などの補填が受けられないことが多いため、ここでは何も差し引かれないのがほとんどです。

3.医療費控除の対象額を求める

上で求めた医療費の負担額を元に、以下の式で医療費控除の対象額を求めます。

医療費控除対象額=医療費の負担額-総所得金額の5%10万円のどちらか少ない方

総所得金額の5%10万円のどちらか少ない方」は、以下です。

  • その年の所得金額が200万円以上……10万円
  • その年の所得金額が200万円未満……所得金額に所得税率(5%)を掛けた数字

例えばその年の所得金額が150万円だった場合、この患者さんの医療費控除の対象額は以下のように計算します。

1,500,000円 × 5%=75,000円

4.還付金を求める

医療費控除の還付金を求める額は以下です。

還付金=医療費控除対象額 × 所得税率
※所得税率は上の表を参考

ここからは、1年間の医療費のうち、

  • 保険診療の医療負担がない
  • インプラントの治療費の全額が60万円

とした場合の、所得が200万円未満・300万円・400万円の人を例に試算します。

200万円未満(150万円とします)の場合、所得税率は5%です。

(医療費の負担金)60万円-(総所得金額の5%)75,000円=(医療費控除対象額)525,000円

(医療費控除対象額)525,000円 × 所得税率5%=26,250円

300万円の場合、所得税率は10%です。

60万円-(所得200万円以上は一律)10万円=(医療費控除対象額)50万円

(医療費控除対象額)50万円 × 所得税率10%=50,000円

400万円の場合、所得税率は20%です。

60万円-10万円=50万円

50万円 × 所得税率20%=100,000円

医療費控除額は還付されるだけでなく、翌年の住民税も医療費控除対象額の10%の分、安くなります。

医療費控除対象額が50万円では5万円の住民税が軽減されるため、それぞれ以下の分、翌年の住民税が軽減されます。

  • 150万円の人は52,500円
  • 300万円と400万円の人は50,000円

所得が400万円の人は還付金10万円の他に安くなる住民税の5万円を合わせて、事実上15万円が戻ってくる計算となります。

申請期間・期限がある

医療費控除は確定申告に適用できますが、申請期間が決まっているため期限を守る必要があります。毎年2月16日~3月15日で、土日にかかる場合は翌日が期限となります。

期限を過ぎても申告はできますが、申告後に納税義務が生じる場合はペナルティがある場合があるため、なるべく期限内に申告するようにしましょう。

5年経ったら申告できなくなるため、還付金があっても受け取れなくなり、住民税を多く徴収されても戻ってきません。

インプラント治療の医療費控除の手順

インプラント治療の医療費控除の手順

インプラント治療の医療費控除の手順を紹介します。

リンク先にも詳しい説明があるため、合わせて参考にしてください。

1.条件に当てはまるか確認

まず以下によって、医療費控除の条件に当てはまるかを確認します。

  • 1月1日から12月31日までに、医療費の負担額が10万円以上
  • その年の1年間の所得金額が200万円未満で、医療費がその5%以上

所得金額とは、得た収入から必要経費を差し引いたもので、会社員の人は給与所得控除が必要経費として差し引かれます。

源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が所得金額にあたります。

2.必要書類を揃える

医療費控除に必要な書類は以下です。

  • 確定申告書(様式作成サイト
  • 診断書(インプラントの手術をした医師によるもの)
  • 医療費控除の明細書(様式作成サイト
  • 領収書(医療費・交通費・医療費通知書など)
  • 源泉徴収票(原本)
  • マイナンバーまたは本人確認書類(免許証など)
  • 他の医療費に対する保険金・高額療養費など補填金額が確認できる書類
  • 印鑑
  • 還付金振込口座(申告者名義)

領収書・源泉徴収票などは様式への記入と計算のみで提出の義務はありませんが、作成には必要です。

3.医療費控除の明細書を作成する

医療費控除の明細書の様式に、治療を受けた人や病院、負担した金額などを、領収書等を確認しながら記入して作成し、最終的に合計を出します。

手書きでも、電子申請でも作成でき、医療費通知書があれば記入は省略できます(インプラントには医療費通知書はありません)。

以下を参考にしてください。

戻ってくる保険金などの数字も記入するため、最終的な医療費負担が分かります。

医療費控除の明細書の記載例にある赤い⑧の数字が、次の確定申告書の記入に使われる医療費控除額です。

4.確定申告書に記入する

3で計算した医療費控除額を、確定申告書に記載します。

以下を参考にしてください。

医療費控除の明細書の記載例にある赤い⑧の医療費控除額が、確定申告書の記載例にある赤い⑧の欄に入ります。

他にも銀行口座など必要な情報を記入します。

5.提出する

確定申告は電子申請、郵送、直接窓口に持参などで提出できます。

窓口の場合は税務署や、時期になると期限内に市などが開設する申告会場でも提出が可能です。

「やっぱり心配」「難しそう」など不安がある場合は、一通りの書類を持参して、相談しながら作成すると安心です。

予約が必要な場合があるため、先に連絡して相談しましょう。

インプラント治療の医療費控除の注意点

インプラント治療の医療費控除の注意点

インプラント治療を医療費控除に適用する場合、いくつかの注意点があります。

領収書は5年間、保管する

医療費控除に使用した領収書などの書類は、後ほど提出を求められる場合があります。

その際に提示できないと、証拠不十分として税加算や延滞税などのペナルティが科せられる場合があります。

申告に使用した領収書は5年の保管義務があるため、捨ててはいけません。

申告し損ねた医療費があったら申告し直せる

申告しなかった領収書が後から出てきた場合、5年以内であれば申告し直すことが可能です。

また逆に、「あの時結構払ったけど領収書がない」という場合は、かかった病院に再発行が依頼できないか相談してみましょう。

領収書は発行できなくても、支払証明書など別の形で発行してくれる場合があります。

額が小さい場合はあまり効果がないため、入院など思いのほか大きな額になる場合には申告した方がいいでしょう。

補填金額が確定していない場合

インプラント治療以外でかかった医療費に対しての保険金や高額療養費などが年内に確定しない場合、見込み額を計算して申告することになります。

インプラントはその多くが民間の医療保険の対象外ですが、もし給付金の対象になる場合は、保険会社へ確認したうえで申告する必要があります。

治療日ではなく支払日が対象

インプラント治療の支払いにクレジットを利用した場合、実際の引き落としの日や治療日ではなく、医療機関で支払いをした日が対象となります。

支払処理をした際の明細や、端末の画面などを印刷や撮影するなどして、支払いの事実が分かるようしっかり管理しておきましょう。

分割払いやリボルビング払いを利用した場合の手数料は医療費には含められないため注意しましょう。

生計を共にする人も対象

医療費控除は、扶養している配偶者や、生計を共にしている家族など、申告する本人が医療費を負担している場合は合算できます。

また、医療費控除の還付金は所得税率が高い人が申告をした方がより高い金額が算出されます。

自立している家族などは対象ではありませんが、遠方に住んでいるため仕送りしている家族や学生さんなどを対象として医療費を合算できるため、忘れずに計算しましょう。

セルフメディケーション税制は利用できなくなる

医療費控除と『セルフメディケーション税制』は併用できないため、どちらか一方を選択して申告することになります。

セルフメディケーション税制は、市販薬(OTC医薬品)を利用して不調を手当てした場合の費用を、税金の減額に利用できる特例制度です。

1年間に総額12,000円以上購入した場合、その年に健康診断などを受けていることを条件に適用でき、上限を88,000円として、12,000円を超えた分が所得控除になります。

インプラント治療は医療費控除の対象となりますが、申告の時はセルフメディケーション税制を一緒に利用しないよう気をつけましょう。

まとめ

インプラント治療は高額ですが、代わりに健康的な生活を送れるようになることが、費用以上の価値といえます。

高額な治療費を軽減する制度を最大限に活かしながら、歯のある喜びを手に入れましょう。

小嶋デンタルクリニックは、噛む力や残存する歯と顎を守るためのインプラント治療を行い、患者さんと信頼関係を築きながらメンテナンスをさせて頂きます。

口腔内のお悩みも、費用負担の心配も、小嶋デンタルクリニックにお気軽にご相談ください。

インプラント手術の流れを紹介!術後の症状の経過や術後の注意点も

インプラント手術の流れを紹介!術後の症状の経過や術後の注意点も

インプラント治療を検討している方は、その手術がどのように進められていくのかを詳しく知りたいと考えるでしょう。

先に見積もりを出してほしい、契約のタイミングがいつなのかなど、高額な費用もかかるゆえの不安もあります。

この記事では、インプラント手術の流れを検討の時点からインプラント装着後まで、通してご紹介します。

流れのなかで痛みなどの症状の移り変わりや注意点も解説するため、治療の後押しになれば幸いです。

インプラント手術は1回法と2回法がある

インプラント手術は1回法と2回法がある

インプラント手術には1回法と2回法があり、それぞれが行える条件や手術の流れに違いがありますが、基本的には2回法が行われます。

始めに、インプラント手術の2種類の手術法について、それぞれ紹介します。

インプラントは3つの部品からできている

1回法と2回法の回数の違いはインプラントを構成する部品の数が関係しています。

インプラントの基本構造は以下の3つで成り立っています。

  • 人工歯……歯を模した『上部構造』
  • アバットメント……歯を失った顎に埋め込む『歯根部』
  • インプラント体……人工歯冠とインプラント体を結ぶ『支台部』

そして、インプラントには以下の2種類があります。

  • ワンピースタイプ……アバットメントとインプラント体が一体化
  • ツーピースタイプ……アバットメントとインプラント体が別々

ワンピースタイプは1回法のみで使用され、ツーピースタイプは1回法と2回法の両方で使用できます。

切開が1回で済む1回法

切開が1回で済む1回法はワンピースタイプを使用する術式で、選択するには以下のような条件が必要です。

  • 骨の厚みや量が十分である
  • 全身疾患がない
  • 1回法を行っている歯科医院である

メリットとデメリットは以下です。

メリット デメリット
  • 切開が1回で済む分、負担が少ない
  • 感染症を起こす確率が若干高い
  • 行っていない歯科医院がある

術後の管理をしっかり行う必要がありますが、条件に叶う患者さんは1回の切開で済ませられる可能性があるといえるでしょう。

切開を2回行う2回法

切開を2回行う2回法はツーピースタイプを使用してほとんどの症例で行える、インプラントの基本的な術式です。

メリットとデメリットは以下です。

メリット デメリット
  • 骨量が不足していても行える
  • 骨造成法や骨移植と併用できる
  • 全身疾患があっても可能
  • 細菌感染のリスクが少ない
  • 2回の切開を行うため、負担が大きい
  • 通院回数が多く治療期間が長くなる

インプラントは人工歯根であり、天然の歯に比べると抵抗力が弱いため、感染すると急速に進行します。

術後に感染症を起こすとインプラントがぐらついてしまい、せっかく埋入しても抜去しなければいけない事態になりかねません。

2回法は感染のリスクが低いのが一番のメリットでしょう。

インプラント手術の流れ

インプラント手術の流れ

現在主流となっている2回法を例に、インプラント手術の流れを紹介します。

経過ごとの内容やかかる期間・時間など、インプラント手術を検討している方は治療開始時期の参考にしてください。

1.カウンセリング・相談

インプラント手術を行うにあたって、口腔内の悩みや治療方針、費用や疑問など、納得できるようカウンセリングや相談を行います。

インプラントは自分に合った歯科医院選びが重要です。カウンセリングでしっかり話を聞いてもらったうえで判断することをおすすめします。

最近は無料相談を受け付けていたり、Webで予約が取れたりする歯科医院が増えています。疑問に思うことは遠慮せず尋ねましょう。

2.検査・治療計画→契約

希望する歯科医院を決めたら、検査→治療計画作成→見積り→契約と進みます。治療計画に納得してからの契約になるため、安心してください。

検査は歯周病検査・噛み合わせの確認・CTによる骨密度や骨量の検査などを行います。

そして検査結果と、健康状態や被せものの材質や色・形などを確認して、治療計画を作成、計画に基づいて費用見積りの算出を行います。

作成したら患者さんに説明し、治療内容・費用とも納得したうえで契約に進みます。

3.一次処置・インプラント体を埋入

一次処置では、歯茎の切開→歯根となるインプラント体を埋入→縫合と進みます。

インプラント体を埋めるための穴を開けてインプラント体を埋め込みます。

時間は、麻酔が効くまで10~15分程度、埋入は1本辺り15分程度ですが、本数が多くなったり抜歯や骨再生治療を行う場合などは時間が多くかかります。

麻酔をするため、施術中は痛みはほとんどありません。

4.抜糸

一次処置後、2週間程度で抜糸を行い、必要に応じて仮歯の装着や調整を行い、次の期間中に生活に支障がないよう準備します。15~30分程度で終わります。

抜糸は一般的に麻酔は使用しませんが、チクチクするような痛みを感じる場合はあります。痛みが強い場合は麻酔もできるため、無理をせず相談しましょう。

処置が済んだら、痛みがなければ食事をとっても大丈夫ですが、仮歯は強度が低く、インプラント体もまだまだ定着していません。

食べ物を噛むときは柔らかいものにし、できるだけ仮歯を使わない方が安心です。

5.待機期間

抜歯後は、インプラント体が顎の骨と結合し一体化するまでの待機期間に入ります。

個人差はありますが平均は2~3ヶ月で、この間は特に問題がなければ歯科医院に行く必要はありません。

ただし、この期間中はインプラント体に負荷をかけると結合が進まないため、硬いものや口を大きく開けるようなものは食べないようにしてください。

違和感や痛みなどが生じる場合は歯科医院に連絡して、必要であれば受診しましょう。

6.二次処置

二次処置では再度切開→インプラント体が骨と一体化できているかを確認→一体化できていたらインプラント体にアバットメントを装着→仮歯を装着という流れで処置します。

二次処置では縫合をしないため、施術にかかる時間は1次処置より若干早く終わります。1本辺り15分程度です。

二次処置の施術後は一次処置同様、麻酔が切れるまでは飲食を避け、2~3日はあまり噛まないで済むもの、その後はできるだけ柔らかいもの、刺激の少ないものを食べてください。

そのあとは歯茎の形が整うのを待つため、1~2週間ほど時間を置きます。

7.型取り

患者さんにあった人工歯(上部構造)を入れるための型取りを行います。

アバットメントへの被せものとなりますが、色や形などを周りに馴染むように製作します。

型取りは30分〜60分程度で終わり、この時点ではもう麻酔が必要な治療はありません。

また、人工歯の作製には1~3週間ほどかかります。

8.装着(完成)

出来上がった人工歯をアバットメントに取り付けて治療終了です。

噛み合わせや色など気になるところがないかチェックします。何かあれば修正が可能であるため、その場で申し出てください。

9.メンテナンス・定期検査

インプラントを装着した場合、天然の歯を定期健診するのと同様に、メンテナンスが必要です。30分程度の時間がかかります。

残っている天然歯の虫歯・歯周病チェックや、被せものなどの状態の確認、レントゲン検査・ブラッシング指導・クリーニングなど、ほとんど通常の定期健診と同様の内容ですが、レントゲン検査があるのが天然歯との違いでしょう。

定期健診は3~6ヶ月に1回行い、天然歯に関しては保険診療となりますが、インプラント部位に関しては保証制度を設けて無料で行っている歯科医院もあります。

インプラント手術中の歯が無い期間の過ごし方

インプラント手術中の歯が無い期間の過ごし方

インプラント手術中、歯がない期間がおよそ2~6ヶ月間ありますが、その間、仮歯が入るため、全く何も噛めないというわけではありません。

切開のあとは仮歯があっても物を噛むことは避けたいため、スープや流動食など噛まずに飲み込めるものを選んで摂る必要がありますが、その後は仮歯で柔らかいものなら多少噛むことが可能です。

一次処置でインプラント体の埋入が済んだら縫合し、そこで仮歯を装着する歯科医院もありますが、大体は抜糸後に仮歯を入れるのが一般的です。

そして人工歯の装着までの間、治療で通院するたびに、仮歯を調整します。

しかしこの仮歯はプラスチックで強度が弱く、役割としては傷口の保護や審美性・噛み合わせの保持、発音への考慮程度で、通常のように噛むことを想定していません。

人工歯が装着されるまでの仮歯の際は、硬いものや粘着性のあるものを食べないよう、例え食べられてもできるだけ仮歯を使用しないよう気をつけましょう。

インプラント手術後の経過

インプラント手術後の経過

インプラント手術後の症状の経過をまとめました。

痛みを上手に避ける方法や日常生活についてなどを紹介するため、参考にしてください。

麻酔が切れるのは2~3時間後

インプラント手術後は、局部麻酔の場合は2~3時間後、静脈内鎮静法の場合は3~4時間後に効果が切れます。

麻酔の効果が切れたあとの痛みの度合いについては、人それぞれ強さや感じ方に違いがありますが、麻酔が切れる前に鎮痛剤を服用すると、痛みを避けることができます。

麻酔が効いている間は感覚が鈍っているため、口の中を噛んでしまったり、熱いものなどでやけどしたりする危険性があるため、飲食はおすすめしません。

どうしても我慢できないようであれば、噛まずに飲めるものを選んで摂りましょう。

手術直後は歯科医院で止血をしますが、当日は時間とともに血が滲んでくる可能性があります。清潔なガーゼを15分おき程度に取り替えながら噛んで、圧迫止血を行ってください。

入浴はせず温度が低めのシャワーで済ませましょう。他にも激しい運動、飲酒などは出血や痛みが悪化するため、血行がよくなることは避けてください。

寝ている間に枕に血がにじむことがありますが、通常は翌日には止まるため、タオルなどを敷いて対策しましょう。

術後2~3日の症状

術後2~3日は痛みや腫れのピークを迎えますが、その後は徐々に引いていきます。時間を測りながら効果が切れる前に鎮静剤を飲むようにして、上手く痛みを逃がしましょう。

この頃から、患部付近の頬から顎辺りの皮膚(外側)に暗紫色の内出血斑が見られることがあります。何もしなくても1~2週間できれいに消えます。

食事についても、まだ刺激で痛みが戻ってくることがあるため注意が必要です。

術後1週間程度は、おかゆやスープなど、柔らかいものを選び、辛いものや熱いもの、大きい口を開けて食べるものなどは避けてください。

運動など血行がよくなることもまだやめておきましょう。

~1週間後

術後1週間のうちに、痛みや腫れが徐々に引いていきます。

感染症予防のために抗生物質が処方されますが、指示通りきちんと飲み切りましょう。全て飲まないと効果が発揮されません。

ウォーキング程度の軽い運動は可能ですが、激しい運動はまだしない方がいいでしょう。入浴は4日以降なら温度を低めにして行ってください。

食事もまだまだ柔らかいものを摂りましょう。

1週間~

術後1週間を過ぎると、2週間以内にはほとんど痛みが治まります。そして術後2週間になると抜糸し、ほとんどの場合仮歯の装着となります。

物が噛みやすくなりますが、本格的に使える歯ではなく、インプラントも安定していないため、硬いものはまだ避けましょう。

激しい運動もできるかぎり控えてください。

インプラント手術の注意点

インプラント手術の注意点

インプラント手術の流れに沿って、痛みや食事についての注意点をこれまで紹介してきましたが、他にも注意したい点があります。

  • できれば術後8週間ほど禁煙する
  • まれに血液が飛ぶこともあるため、汚れてもいい服装で手術に臨む
  • 帰りは運転を避ける
  • 歯ブラシを柔らかいものに変える

喫煙は傷口の治りが遅くなるため、できれば完治するまでは禁煙した方がいいでしょう。

静脈内鎮静法の場合、急な眠気やふらつきが起こる可能性があるため、帰りは自動車の運転はできません。

インプラント治療が始まった場合、切開しても歯磨きをやめることはありません。そのため治療中は、患部に万が一触れても安心な、毛先の細い柔らかい歯ブラシに変えることになります。

受診が必要な場合

以下の場合は施術した歯科医院に速やかに受診しましょう。

  • 出血、痛み、腫れが続いている。鎮痛剤が効かない
  • 鼻血・膿が出る
  • よだれが出る・下唇が震える
  • 下痢や湿疹が見られる

下痢や湿疹が見られる場合は鎮痛剤や抗生物質が合わない可能性があるため、一旦飲むのをやめて受診しましょう。

外科手術後の異変に我慢は禁物です。悪化する前に連絡するなど、早めに相談してください。

まとめ

インプラント手術の流れを紹介しました。

複雑なその術後経過を知ると、歯科医院の経験や実績を重要とする、専門的な治療だということが分かります。

小嶋デンタルクリニックにはインプラント医学を学び、経験を積み重ね、多くの患者さんに治療を提供してきた実績があります。

インプラント治療をご検討中なら、小嶋デンタルクリニックに一度ご相談ください。ご予約も随時受け付けております。

インプラント手術後の様子や過ごし方・受診するべき症状を詳しく紹介

インプラント手術後の様子や過ごし方・受診するべき症状を詳しく紹介

インプラントは顎の骨に穴を開ける外科手術ですが、口の中の手術のため、食事や生活にどの程度の支障があるのか、どのように過ごせばいいのかなどが気になるところでしょう。

術後を良好に過ごし、少しでも早く日常復帰するためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?

この記事では、インプラント手術後の様子や大切な薬の服用について、食事や生活習慣、受診が必要な場合や注意点について紹介します。

インプラントの手術後を不安なく過ごせるよう、ぜひ参考にしてください。

インプラント手術後の様子

インプラント手術後の様子

インプラントは外科手術だけあって、虫歯治療とは施術後の様子に違いがあります。

まず初めに、インプラント手術後の様子について紹介します。

麻酔の効果が切れるのは?いつまで痛い?

インプラント手術で行われる麻酔は、局所麻酔の場合は2~3時間後、静脈内鎮静法は術後3~4時間後に効果が切れます。

それぞれの麻酔の効果は以下です。

  • 局所麻酔……意識があるまま治療部位の感覚を鈍らせる
  • 静脈内麻酔……意識が曖昧で恐怖心は薄れるが鎮痛作用はないため局所麻酔と併用される

麻酔の効きが悪かった経験などがある場合は事前に医師に伝えておきましょう。

術後の痛みについては、造骨手術や多数のインプラントを埋めるケースなどは長引くこともありますが、ほとんどの場合、術後2~3日をピークとして1~2週間で治まります。

出血がある

インプラント手術では歯茎を切開するため数日間続く出血が見られますが、徐々に治まっていきます。

直後は出血があるため歯科医院でも止血をしますが、しばらくは血が滲んでくる場合があります。

その場合は、10~15分程度ガーゼを交換しながら噛む圧迫止血を繰り返してください。目立った出血は1~2日で治まります。

夜は枕が血で汚れないようタオルを敷くなど、1週間ほどは様子をみてください。

施術近辺の頬に内出血

インプラント手術後2~3日を経過すると、手術した辺りの頬から顎・首あたりの皮膚など(外側)に、内出血斑があざのように生じる場合があります。

女性に特に多い症状ですが、1~2週間ほど経った頃に消えるため、特に何か処置が必要なものではありません。

外出時にマスクをするなどして、様子を見ましょう。

糸に違和感がある

インプラント手術では歯茎を切開し縫合した糸が数日口の中に残り、違和感が生じることがあります。

1週間ほどで抜糸しますが痛みはほとんどなく、あってもチクッとする程度です。

糸が気になって舌や指で弄りたくなる場合もありますが、触ると糸や傷口に菌が付着して、炎症の原因となるケースがあります。歯磨きや食事の際も気をつけましょう。

傷口に血の塊ができる

インプラント手術後の傷口に、血の塊ができる場合がありますが、傷口の再生に必要なものであるため、なるべく触れずに取らないようにしてください。

『血餅(けっぺい)』と呼ばれるかさぶたのような役割を果たすものですが、歯ブラシやうがいなどのちょっとした刺激で取れやすく、出血の原因になります。

歯磨きの際には歯ブラシの先が当たらないよう注意し、うがいも最小限に留めましょう。

インプラントは術後すぐには歯が使えない

インプラントは切開時に仮歯が装着されるため、術後に物が噛めないわけではありませんが、手術後すぐに使えるわけではなく、通常通りに噛めるようになるまでは数ヶ月かかります。

仮歯はプラスチックのため強度が低く、噛むためというより噛み合わせを保持したり傷口を保護したり、自然な見た目のためなどに入れる一時的なものです。

インプラントに歯冠が装着されて本格的に稼働できるようになるまでには時間がかかるため、治療が完全に終わるまでは患者さんのメンテナンスが重要です。

インプラント手術後の薬の服用について

インプラント手術後の薬の服用について

インプラント手術後は歯科医院から薬が処方されますが、医師の指示にしっかり従って服用しなければならない薬があるため、注意が必要です。

インプラント手術後の薬の服用について紹介します。

鎮痛剤をうまく使う

インプラント手術後は、鎮痛剤が処方されるのが一般的ですが、効果的な使い方をすることで術後の痛みをうまく避けられます。

鎮痛剤は効くまでに若干時間がかかるため、麻酔が切れる少し前に服用すると痛い思いをせずに済みます。

痛みが治まらない場合に追加して服用していいか、多めに処方してもらえるかなどを相談しておくと安心です。

インプラント手術後に処方される鎮痛剤にはロキソニンやロキソプロフェン・ボルタレン・カロナールなどが挙げられますが、もし痛みが長く続く場合は市販薬も使用できます。

市販薬を選ぶ場合の成分は、アスピリン・アセトアミノフェン・イブプロフェンもおすすめです。

また、鎮痛剤は痛みを抑える一方で胃や肝臓などに負担がかかる場合があるため、胃弱の方は申し出ておくことで、胃腸薬の処方があるかもしれません。

抗生物質は決められた日数を必ず服用

インプラント手術は外科手術のため、術後は感染予防のための抗生物質が処方されることがあります。

指定された日数で飲み切って効果を維持する薬のため、痛みがなくても最後まで飲み切る必要があります。飲み忘れると効果が切れたり、耐性菌ができてしまいます。

抗生物質の正しい効果を得るため、アルコールと同時に摂取するのは厳禁です。

正しい服用方法で、正しい日数分を服用しましょう。

歯磨きできない間はマウスウォッシュ

歯科医院によっては、歯磨きが不自由な術後のためにうがい薬やマウスウォッシュを出してくれるところもあります。

患部が気になるインプラント手術後でも、口内は清潔に保たなくてはいけません。

患部は抜糸後に磨けるようになります。それまでは患部以外を柔らかい歯ブラシで優しく磨きましょう。

インプラント手術後の食事について

インプラント手術後の食事について

インプラント手術後の食事については、以下のようなことに気をつけて摂りましょう。

麻酔が切れるまでは飲食を避ける

術後は麻酔が切れるまでは、口内を噛んだり熱いものでやけどしたりする可能性があるため、飲食を避けた方がいいでしょう。

インプラントの手術後は、患部に刺激を与えないようにしながらも、口腔内を清潔に保たなければいけません。

柔らかい歯ブラシにより歯磨きに時間がかかるうえ、口腔内を噛んでて傷をつけてしまうと、さらに歯磨きがしづらくなるでしょう。

局所麻酔の場合は2~3時間程度で効果が切れますが、我慢できない場合はスープや流動食など咀嚼のいらないものをきちんと冷ましてから摂りましょう。

柔らかく刺激のないものを選んで食べる

インプラントの術後は1週間程度はおかゆやうどんなど柔らかいものを選び、治療部位では食べないなどの注意が必要です。

柔らかくても歯にくっつきやすいもの、血流を促す辛いものや、酸っぱいもの・味の濃いもの・熱いものも刺激が強いため、避けてください。

抜糸までは違和感で食べにくいこともあり食事には時間がかかります。ゆっくりと落ち着いて食べましょう。

アルコールと炭酸は控える

術後2~3日は例え飲み物でも気をつけないと、痛みが増す可能性があります。

例えばアルコールは血行を促進するため、出血や痛みがぶり返す場合があります。

炭酸も刺激があり痛みが増すことがあるためおすすめできません。

飲んでいい飲み物でも、熱い・冷たいなど、極端な温度で口にするのは避けた方がいいでしょう。

インプラント手術後の生活習慣について

インプラント手術後の生活習慣について

インプラント手術後の生活習慣は、以下のことに気をつけましょう。

  • 1週間は禁煙
  • 1週間は入浴を控え、シャワー程度に留める
  • 軽い運動でも術後2~3日は控え、激しい運動は1週間を過ぎてから
  • 歯磨きは柔らかい歯ブラシで行う

喫煙はインプラントと顎の骨が結合しにくく、傷の治りも遅くなります。

加えて、喫煙はインプラント歯周炎(インプラント周囲の粘膜のみに炎症が起こる症状)によるインプラントが抜け落ちるリスクを通常より2倍高めるといわれています。

長い目で見ればメンテナンスにも関わってくる問題のため、この機会に禁煙をおすすめします。

歯磨きは、患部以外は術後でも必要であるため、患部に刺激を与えないように、毛先の細い柔らかめの歯ブラシで磨きましょう。

そして、術後の受診で担当医を相談しながら、元の硬さの歯ブラシに戻していきましょう。

受診が必要な術後の症状

受診が必要な術後の症状

口腔内の外科手術は虫歯の治療と違ってなかなか受ける機会がないため、どんな症状だったら受診するべきかを迷う人も多いでしょう。

インプラント手術後に、以下のような気になる症状があった場合は、手術をした歯科医院を受診してください。

耐えられない腫れや痛みが続く・日ごとに強くなる

インプラント手術後の痛みは、特別な問題がなければ1~2週間ほどで治まるのが一般的ですが、以下のように症状が増していく場合は受診が必要です。

  • 鎮痛剤の量を増やしても痛みが治まらない。日ごとに痛みが増す
  • 1週間以上腫れが続く・大きくなる
  • 顔や喉元が腫れた場合

痛みが酷くて受診したくても、休診日などすぐに対応できない場合は、市販の鎮痛剤を使用したり、冷やしたりするのも効果的です。

感染症を引き起こしている場合も考えられるため、我慢せずに受診しましょう。

出血が止まらない

施術部位からの出血は、通常1~2日で止まりますが、なかなか止まらなかったり、鼻から出血があったりする場合は周辺に異常が起こっている可能性があります。

受診の際は担当医に、出血の頻度や量を詳しく伝えましょう。

下痢や湿疹

稀に下痢をしたり湿疹がでたりする場合がありますが、処方した薬が体質に合わずに起こっている可能性があります。

この場合は例え抗生物質でも無理をして飲み続けず、すぐに担当医に連絡をしてください。

口腔内以外の症状

インプラント手術後に、以下のような口の中や歯・歯茎以外の症状がある場合は、なるべく早く手術を行った歯科医院を受診してください。

  1. 下唇が震える
  2. 下が痺れる
  3. よだれが出る
  4. 鼻から出血する

1~3までは神経を損傷した場合に見られる症状です。

4は上顎洞(鼻の横の空洞)で炎症が起こっている場合の症状で、蓄膿症などに発展する場合があります。

どちらも頻繁にある症例ではなく治療も可能であるため、早めに担当医に相談して対応してもらいましょう。

骨造成を行った場合の注意点

骨造成を行った場合の注意点

骨造成を行った場合のインプラント手術は、通常よりも手術範囲が広いため、痛みと腫れが長く続き、術後の注意点も通常のインプラントと多少違いがあります。

骨造成を行った場合の注意点を紹介します。

サイナスリフト・ソケットリフト

サイナスリフトとソケットリフトはどちらも上顎に人工的に骨を盛り足す手術で、上顎洞を覆う『シュナイダー膜』を押し上げてスペースを作って、インプラントを埋入します。

シュナイダー膜までの骨が、

  • 5mm以上ある場合はサイナスリフト
  • 5mm以下や失った歯が多い場合はソケットリフト

が適用されます。

この治療法にはインプラント全般の注意点の他に、以下のような注意点があります。

  • 24時間はうがいを控えめにする
  • うつ伏せに寝ない
  • 運動や歌唱など、激しい呼吸をするような行動はしない

鼻の通り道の脇にある副鼻腔に対して施術しているため、術後は風邪をひかないよう体調管理をして、くしゃみや咳などもなるべく我慢しましょう。

GBR

GBRは、骨の不足している部分にインプラントが入る骨を作る骨再生誘導法です。

患者さん自身の骨を採取したものや人工骨を粉砕し、骨の厚みや高さが足りない部分を補い、人口膜で覆って歯槽骨の再生を促します。

術後はサイナスリフト同様、傷の治りが悪くなるためうつ伏せ寝は避けてください。

骨の再生には10ヶ月ほどの時間がかかるため、インプラントの固定を待ちます。

その間、圧痛が続くことがあるため気になるかもしれませんが、患部を刺激することがないように注意しましょう。

まとめ

インプラント手術は、術後に気をつけることが多く、ケアがとても大切です。

しかし、患部を刺激しない・服用方法を守るなど、結果的には痛みを避ける注意点が多いため、それほど難しくはないでしょう。

静岡市駿河区石田のインプラントセンター、小嶋デンタルクリニックでは、手術後のケアまでしっかりとご説明させていただき、患者様の不安を取り除きます。

無理をせず、医師の指示をしっかり守ることで回復も早まります。今まで不自由していた分、小嶋デンタルクリニックのインプラント治療で安心できる生活をお過ごしください。

インプラントとセラミックの違いは?治療法の特徴と選び方ガイド

インプラントとセラミックの違いは?治療法の特徴と選び方ガイド

歯の治療を検討する際、『インプラント』と『セラミック』という選択肢がよく挙げられますが、これらの治療法にはどのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、インプラントとセラミックの特徴や治療方法、費用、さらにはそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。

どちらを選ぶべきか迷っている方に向けて、選び方のポイントもご紹介します。

インプラントとは

インプラントとは

インプラントは、失った歯を補うための治療法として広く知られています。

特に、自然な見た目と機能性を取り戻すことができる点で、多くの方に選ばれていますが、具体的にどのような仕組みで行われる治療なのかを理解することが重要です。

ここでは、インプラントの基本的な構造や素材、治療期間、費用について詳しく見ていきましょう。

人工歯根を埋め込み、人工の歯を装着する治療法

インプラントは、失った歯を補うための治療法で、あごの骨にチタンなどの素材でできた人工の歯根を埋め込み、これを骨としっかり結合させます。

この結合は『オッセオインテグレーション』と呼ばれ、数ヶ月かけて骨としっかり固定されます。

その後、人工の歯根にアバットメントと呼ばれる部品を取り付け、最終的にセラミックなどで作られた人工の歯を装着します。この方法によって、見た目も機能も自然な歯に非常に近い状態が回復されます。

インプラントのメリットは、入れ歯やブリッジと異なり、周囲の健康な歯に影響を与えないことです。

また、長期間にわたって使用することができ、しっかりとした噛み心地が得られるため、多くの人に選ばれている治療法です。

治療期間

インプラント治療は、一般的に3カ月から1年ほどの期間を要します。

治療の流れは、まず精密検査を行い、顎骨の状態や歯周病の有無を確認した後、人工歯根(インプラント体)をあごに埋め込む手術が行われます。

この手術自体は1日で完了しますが、インプラント体が骨としっかり結合するまで数ヶ月の『定着期間』を設けます。

この期間が治療全体の長さに大きく影響し、患者さんの骨の状態や健康状態によって異なります。

特に顎骨が薄い場合や歯周病がある場合は、事前に骨造成や歯周病治療が必要となり、治療期間が延びることがあります。

インプラントと骨が十分に結合した後、連結部品(アバットメント)を取り付け、最終的に人工歯を装着します。

治療後も定期的なメンテナンスが必要で、このケアによってインプラントの長期的な安定性が保たれます。

費用

インプラント治療の費用は、1本あたり30万円から50万円程度が一般的な相場です。

この費用には、インプラント体(人工歯根)をあごの骨に埋め込む手術費用、アバットメント(連結部品)、そして上部構造となる人工歯の製作費が含まれます。

また、治療前の精密検査やCT撮影、手術後のメンテナンス費用も別途かかることが多く、これらの追加費用を含めると総額はさらに高くなる場合があります。

特に、骨が不足している場合には骨造成の処置が必要となり、その分費用が増加します。治療費は自費診療であるため、クリニックごとに異なり、使用するインプラントのメーカーや歯科医師の技術力によっても差が生じます。

さらに、審美性が重視される部位では、より高額になることもあります。治療を始める前に、詳細な見積もりを確認し、納得した上で進めることが重要です。

セラミックとは

セラミックとは

セラミックは、主に虫歯治療や審美歯科で使用される材料の一つで、天然歯に近い美しさと機能性を持つことで知られています。

金属アレルギーの心配がなく、耐久性にも優れているため、詰め物や被せ物として広く用いられています。ここでは、セラミックの特徴や治療方法、費用などについて詳しく解説していきます。

虫歯治療で使用される材料

セラミックは、主に虫歯治療で使用される材料の一つで、自然な歯に近い色合いや透明感を持つことから、審美性が高く評価されています。

従来の金属製の詰め物や被せ物と異なり、セラミックは白く美しい仕上がりになるため、特に前歯といった目立つ部分の治療に適しています。

さらに、セラミックは金属を含まないため、金属アレルギーのリスクがなく、身体に優しい素材としても人気です。

また、セラミックは汚れが付きにくく、劣化しにくい特徴があるため、長期間にわたって美しさを保つことができます。

虫歯治療では、削った部分にセラミック製の詰め物や被せ物を装着し、歯との隙間を抑えることで二次虫歯のリスクを軽減することも可能です。

治療期間

セラミック治療の期間は、治療内容や個々のケースにより異なりますが、一般的には2~3回の通院で完了するケースが多いです。

初回の診察では、虫歯や歯の状態を確認し、必要に応じて歯を削り型取りを行います。この工程には1〜2時間ほどかかる場合もあります。

型取りが終わると、技工所でセラミックの詰め物や被せ物を製作し、通常1~2週間で完成します。完成までの間は仮歯を装着して過ごします。

次回の通院時に、完成したセラミックを装着し、噛み合わせや見た目を調整して治療が終了します。

治療期間は短いものの、精密な作業が求められるため、歯科医院によってはさらに時間がかかる場合もあります。

また、事前に根管治療や歯周病治療が必要な場合は、その分期間が延びることもあります。

費用

セラミック治療の費用は、治療内容や使用する素材によって異なりますが、一般的に1本あたり8万円から18万円程度が相場です。

例えば、オールセラミッククラウンは透明感があり審美性に優れていますが、費用は高めで1本あたり10万円前後かかることが多いです。

また、メタルボンドクラウンは内側に金属を使用しつつも外側はセラミックで覆われており、強度と審美性を兼ね備えた治療法で、これも同様に10万円前後の費用がかかります。

さらに、部分的な詰め物であるセラミックインレーの場合は、比較的安価で4万円から9万円程度が一般的です。

これらの治療は保険適用外の自費診療となるため、全額自己負担となります。クリニックによってはセット価格や割引キャンペーンを実施している場合もあるため、事前に確認すると良いでしょう。

インプラントとセラミックの違い

インプラントとセラミックの違い

インプラントとセラミックは、どちらも歯を補うための治療法ですが、適用される状況や治療方法に大きな違いがあります。以下の表で、両者の主な違いを比較してみましょう。

インプラント セラミック
治療対象
  • 歯根ごと失った場合に適用される
  • 人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する
  • 歯根が残っている場合に適用される
  • 天然の歯に詰め物や被せ物を装着して補う。
構造 3つのパーツ(人工歯根、アバットメント、人工歯)で構成 詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)として使用されるセラミック素材
素材
  • 主にチタン製の人工歯根が使用
  • 生体親和性が高く、骨と結合する
  • 陶器やジルコニアなどのセラミック素材
  • 審美性が高い
  • 金属アレルギーの心配がない
期間 骨とインプラントが結合するまで数ケ月かかり、全体で3カ月〜1年ほどかかることが多い 2〜3回の通院で完了することが多く、最短で2週間程度で治療が終わることもある
費用 1本あたり30万円〜50万円程度

※手術・検査費用も含まれる

  • 詰め物は:4万~9万円
  • かぶせ物:8万~18万円
  • ※使用する素材によって変動

メリット
  • 天然歯と同様にしっかり噛むことができる
  • 周囲の歯に負担をかけない
  • 見た目が自然
  • 審美性に優れ、透明感や自然な色合いを再現できる
  • 金属アレルギーの心配がない
  • 変色しにくい
デメリット
  • 手術が必要で身体的負担が大きい
  • 治療期間が長い
  • 費用が高額
  • 強い衝撃で割れる可能性がある
  • 健康な歯を削る必要がある場合もある
  • 費用が高額
適用ケース 歯根がなく、失った歯を補う場合 歯根が残っており、虫歯などで一部欠けた歯を補う場合

インプラントは主に歯根ごと失った場合に適用され、長期的な安定性と機能性を提供し、セラミックは審美性に優れた素材であり、主に虫歯などで部分的に欠損した歯を補う際に使用されます。

それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるため、自分の状況や希望に応じて選択することが重要です。

選び方のポイント

選び方のポイント

インプラントとセラミックは、それぞれ異なる特徴を持つ治療法ですが、どちらを選ぶべきかは患者さんの口腔内の状態や希望によって異なります。

ここでは、インプラントとセラミックを選ぶ際に考慮すべきポイントについて解説します。

歯根の状態や治療する部位、さらには金属アレルギーの有無など、さまざまな要素を踏まえて、自身に最適な治療法を見つけるための参考にしてください。

歯根の状態

インプラントとセラミックの選択で、最も重要な判断基準の一つが『歯根の状態』です。

インプラントは、歯根が完全に失われた場合に適用される治療法です。人工歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工歯を装着するため、歯根がない状態であっても、しっかりとした土台を確保できます。

一方で、セラミック治療は歯根が残っている場合に適用され、虫歯や外傷で歯が部分的に欠損している場合、セラミック素材の詰め物や被せ物を使用して補修することが可能です。

歯根が健康であれば、セラミック治療は審美性と機能性を兼ね備えた選択肢となります。

ただし、歯根が損傷している場合や抜歯が必要なほど悪化している場合には、インプラント治療が推奨されます。治療法の選択には、まず歯科医師による正確な診断を受け、自分の歯根の状態を把握しましょう。

前歯か奥歯か

前歯は審美性が特に重視されるため、自然な見た目を再現できる治療法が求められます。セラミックは、透明感や色合いが天然歯に非常に近く、前歯の治療に適しています。

インプラントの場合、人工歯根を埋め込み、その上にセラミッククラウンを装着することで、天然歯に近い色合いや透明感を実現できます。

一方、セラミック単体の治療でも、歯根が残っている場合は詰め物や被せ物として審美性の高い仕上がりが可能です。

奥歯では、咀嚼の負荷が大きく強度と耐久性が重要なため、あごの骨にしっかり固定されているインプラントがおすすめです。

セラミック治療でも奥歯に適用できますが、特に強度の高いジルコニアなどの素材を使用することが推奨されます。したがって、前歯では審美性を重視し、奥歯では強度と機能性を考慮して選ぶことがポイントです。

金属アレルギーへの対応

インプラント治療では、人工歯根にチタンが使用されることが多く、チタンは生体適合性が高いため、金属アレルギーを引き起こしにくいとされています。

しかし、まれにチタンアレルギーを持つ人もいるため、事前にパッチテストなどで確認することが推奨されます。

もしチタンアレルギーがある場合には、ジルコニア製のインプラントなど、金属を使わない選択肢もあります。

一方、セラミック治療は金属を一切使用しない素材で作られることが多く、金属アレルギーの心配がありません。

特にオールセラミックやジルコニアクラウンは、審美性にも優れており、アレルギーリスクを避けたい方に適した治療法です。

金属アレルギーがある場合は、インプラントかセラミックかを選ぶ際に必ず歯科医師と相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。

まとめ

インプラントは歯根が失われた場合に人工歯根を埋め込む治療で、強度と機能性が高い一方、セラミックは歯根が残っている場合に詰め物や被せ物で補修し、審美性に優れています。

歯根の状態や、施術場所が前歯か奥歯か、金属アレルギーへの対応などのポイントを考慮して自分に合った治療方法を見つけてください。

小嶋デンタルクリニックでは、治療を始める前にカウンセリングを行い、患者様に治療のメリット・デメリットを理解したうえで治療を受けていただける環境を整えています。

カウンセリング室で、インプラント以外の治療方法の相談も含めて、30~60分ほどの時間をかけて、丁寧にご説明いたします。

患者様一人ひとりの口腔内の状態やライフスタイル、治療に対するご希望をしっかりとお伺いし、最適な治療プランをご提案いたします。

インプラントについてお悩みの方はぜひ、小嶋デンタルクリニックまでご相談ください。

差し歯とインプラントの違いは?選択のポイントを解説

差し歯とインプラントの違いは?選択のポイントを解説

歯を失った時の治療法として、差し歯とインプラントはよく知られていますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、差し歯とインプラントの構造の違いから、それぞれのメリット・デメリット、さらには選択のポイントまで詳しく解説します。

歯科治療の選択に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

差し歯とインプラントの構造の違い

差し歯とインプラントの構造の違い

差し歯とインプラントは、どちらも失われた歯の機能を回復する治療法ですが、その構造には大きな違いがあります。

ここでは、それぞれの基本的な構造と、どのように口腔内に装着されるかについて解説します。

差し歯は、残存している歯根を利用

差し歯は、残存している歯根を活用する治療法で、歯の根っこ部分がまだ健康で使用可能な場合に適しています。

虫歯が進行して歯の表面部分が大きく損傷していても、歯根が残っていれば差し歯による修復が可能です。差し歯の処置では、まず残存している歯根の治療を行います。

必要に応じて根管治療を実施し、歯根の状態を整え、歯根の上に人工の土台(コア)を作ります。このコアは、歯根管内に挿入され、残存する歯根と一体化します。

コアの上には、歯冠部分を再現する被せ物(クラウン)を装着します。クラウンは、患者さんの口腔内の状況や希望に応じて、金属やセラミックなどさまざまな材料で作られます。

この被せ物が、失われた歯の形態と機能を回復させる役割を果たします。

インプラントは歯根から人工物で置き換える

インプラント治療は、失われた歯を根元から完全に人工物で再現する治療法で、チタン製の人工歯根をあごの骨に直接埋め込むのが特徴です。

人工歯根が骨と結合した後、その上にアバットメントと呼ばれる人工歯根と人工歯をつなぐ中間部品を取り付けます。

最後に、セラミックなどの材料で作られた人工歯(クラウン)をアバットメントに装着して治療が完了します。

差し歯のメリットとデメリット

差し歯のメリットとデメリット

差し歯は、長年にわたり歯科治療の主要な選択肢として多くの患者さんに利用されてきました。

ここでは、差し歯を選択する際に知っておくべき主なメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

メリット

差し歯治療には、以下の主要なメリットがあります。

  • 自分の歯を修復できる
  • 費用を抑えられる
  • 治療期間が短い

歯根が健在であれば、その上に人工の歯冠を装着することで、自然な噛み合わせと見た目を取り戻すことが可能です。

また、差し歯は保険適用の治療法であるため、経済的な負担を軽減できます。保険診療の場合、治療費は数千円~1万円程度に抑えられ、多くの人にとって手の届きやすい選択肢といえるでしょう。

さらに、差し歯の治療期間は比較的短く、大規模な外科手術を必要としないため、通常1〜2ヶ月程度で完了します。

デメリット

差し歯治療には、以下のようなデメリットがあります。

  • 素材による審美性の差
  • 歯根や差し歯の損傷リスク
  • 土台となる歯が必要
  • 虫歯のリスク
  • 再治療が必要になる可能性

差し歯は、使用する素材によって見た目に大きな違いが生じ、保険適用の素材(銀歯や硬質レジン)では、特に前歯など目立つ部分で審美性が低くなることがあります。

一方で、セラミックやジルコニアなどの自費診療の素材を選ぶと自然な見た目になりますが、費用が高くなります。

残存する歯根を利用するため、噛む力や加齢によって歯根が割れるリスクがあり、差し歯自体も強い力が加わると欠けたり外れたりする可能性があるため、過度な負荷には注意が必要です。

差し歯を装着するためには、健康な歯根が残っていることが前提です。歯根が損傷していたり、虫歯や歯周病で弱っている場合は、差し歯治療が難しくなることもあります。

差し歯と天然の歯との境目に汚れが溜まりやすく、適切なケアを怠ると虫歯や歯周病のリスクが高まります。特にクラウンと歯茎の境目は清掃が難しいため注意が必要です。

永久的ではなく、時間とともに劣化することがあり、場合によっては再治療や新しい差し歯への交換が必要になるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

インプラントのメリットとデメリット

インプラントのメリットとデメリット

インプラントは、失った歯を根元から人工物で置き換える治療法として注目されていますが、その一方で他の治療法と比べて特有のメリットとデメリットがあります。

ここでは、インプラント治療を検討する際に知っておくべき利点と課題について詳しく解説します。

メリット

インプラント治療には、以下のようなメリットがあります。

  • しっかりと強く噛める
  • 審美性の向上
  • 取り外す必要がない
  • 周囲の歯への影響が少ない
  • 口腔内の健康維持

インプラントはあごの骨に直接固定されるため、天然歯に近い強度でしっかりと噛むことができます。硬い食べ物でも問題なく食べられるため、食事の楽しみが広がるでしょう。

インプラントは見た目も非常に自然で、周囲の歯と調和するように作られます。セラミックなどの素材を使用することで、天然歯とほぼ見分けがつかない美しい仕上がりを実現できます。

入れ歯とは異なり、インプラントは一度装着すると取り外す必要がありません。日常的なケアも通常の歯と同じように行えるため、手間がかからず快適です。

ブリッジ治療と違い、インプラントは隣接する健康な歯を削る必要がありません。また、他の歯に負担をかけることなく独立して機能するため、周囲の歯を長持ちさせることにもつながります。

インプラントはあごの骨に刺激を与えるため、骨の退縮を防ぎ、口腔内全体の健康維持に役立ちます。

デメリット

インプラント治療には、以下のようなデメリットがあります。

  • 治療費が高額
  • 治療期間が長い
  • 手術が必要
  • 感染症のリスク
  • 定期的なメンテナンスが必要

インプラントは保険適用外の自由診療であり、1本あたり30万〜50万円ほどかかることが一般的です。複数本の治療や骨造成手術が必要な場合は、さらに費用が増えるため、経済的負担が大きくなります。

また、手術後にあごの骨とインプラント体が結合するまで数ヶ月かかるため、治療全体で6ヶ月から1年ほどの期間が必要です。あごの骨の状態や他の口腔内トラブルによっては、さらに長引くこともあります。

治療には外科手術が伴い、あごの骨に穴を開けてインプラントを埋め込む必要があります。手術そのものは局所麻酔で行われますが、身体への負担や痛み、腫れなどのリスクも伴うことを覚えておきましょう。

インプラントは人工歯ですが、周囲の組織は天然のものであるため、定期的なメンテナンスを怠るとトラブルが発生します。長期的な口腔内の健康を維持するためには、定期的な検診やクリーニングが欠かせません。

差し歯とインプラント・その他の治療の比較

差し歯とインプラント・その他の治療の比較

差し歯とインプラント、その他の治療法(入れ歯やブリッジ)には、それぞれに特徴があり、咬合力、審美性、治療期間、費用、寿命などの点で違いがあります。

差し歯 インプラント 入れ歯 ブリッジ
咬合力 天然歯の約50~70% 天然歯とほぼ同等 天然歯の30~40% 天然歯に近いが支える歯に依存
審美性 素材による

(保険適用のものは劣る)

天然歯に近く審美性が高い 留め具が見えることがある 素材による

(セラミックなどは高い)

治療期間 約1~2ヶ月 3ヶ月~1年 数週間~数か月 約1~3ヶ月
費用 保険適用:3,000~1万円程度

自費:10万円前後

自費:30~50万円 保険適用:数千円

自費:数十万円

保険適用:数千円

自費:10万円前後

寿命 保険適用:5~8年

自費:10~20年

10~15年

※メンテナンス次第で20年以上

5~10年間程度

(素材による)

7~15年程度

(素材による)

このように、それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあるため、患者さんの状態や希望に応じて最適な選択肢を選ぶことが重要です。

どちらを選ぶべき?選択のポイント

どちらを選ぶべき?選択のポイント

差し歯とインプラントは、それぞれ異なる特徴を持つ治療法です。どちらを選ぶべきかは、患者さんの口腔内の状態やライフスタイル、費用面などによって異なります。

ここでは、選択の際に考慮すべきポイントをいくつか挙げ、それぞれの治療法がどのような状況に適しているかを詳しく解説していきます。

口腔内の状態による選択

口腔内の状態によって、差し歯とインプラントの選択は大きく異なります。

最も重要な判断基準は歯根の有無です。差し歯は、歯根が健康で残っている場合に適用される治療法で、土台がある状態で人工歯を被せるため、歯根がしっかりしていることが前提となります。

例えば、虫歯や外傷で歯冠が損傷しても、歯根が健在であれば差し歯で修復が可能です。

一方、インプラントは、歯根ごと失ってしまった場合に選択される治療法です。インプラントではチタン製の人工歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着します。

あごの骨に十分な厚みや強度があり、骨の健康状態が良好であれば、インプラント治療が可能です。しかし、あごの骨が薄い場合や骨量が不足している場合は、骨移植などの追加手術が必要になることもあります。

また、口腔内の健康状態も選択に影響を与え、重度の歯周病やあごの骨の退縮が進んでいる場合は、インプラント治療が難しくなることがあります。そういった場合は入れ歯やブリッジなど他の治療法を検討しましょう。

費用面での選択

差し歯は保険が適用されることが多く、1本あたりの費用は約3,000円から1万円程度に抑えられます。

保険適用外の自由診療の場合でも、素材によっては4万~20万円程度と、比較的手頃な価格で治療を受けることが可能です。

一方で、インプラントは基本的に自由診療のみで行われるため、1本あたり30万~50万円ほどかかることが一般的です。

また、インプラントの場合、事前の検査や手術費用も含まれるため、総額がさらに高額になることがあります。このため、治療費を抑えたい場合や保険適用を希望する場合には差し歯がおすすめです。

長期的な視点での選択

長期的な視点で治療法を選ぶ際には、寿命やメンテナンスの必要性が重要なポイントです。

インプラントは、あごの骨に直接固定されるため、適切なメンテナンスを行えば10〜15年、場合によってはそれ以上長持ちすることがあります。

特に、定期的なクリーニングや歯科検診を欠かさず行うことで、インプラントの寿命はさらに延びる可能性があります。

一方で、差し歯の寿命は使用する素材によって異なり、保険適用のものでは5〜8年、自費診療の高品質な素材を使用した場合でも10〜20年が一般的です。

また、差し歯は天然の歯根を利用しているため、歯根が損傷したり虫歯が再発したりすると再治療が必要になることがあります。

これに比べてインプラントは人工歯根を使用しているため、虫歯のリスクはありませんが、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病に似た症状が発生するリスクがあります。

このように、長期的な耐久性やメンテナンスの手間を考慮すると、インプラントは長持ちする一方で定期的なケアが不可欠です。差し歯は素材や口腔内の状態によって寿命が異なるため、それぞれの状態に応じた治療法の選択が必要です。

生活スタイルに合わせた選択

忙しい日常を送っている方や、仕事や家事で頻繁に時間が取れない方には、治療期間が短く、手軽に行える差し歯が適しています。

差し歯は1〜2ヶ月で治療が完了するため、短期間で噛む機能を回復させたい方には理想的です。また、手術が不要なため、体への負担も少なく、通院回数も少なく済みます。

一方で、長期的な安定性や耐久性を重視する方にはインプラントが向いています。特に、硬い食べ物をよく食べる方や、強い噛み合わせが必要な方にとっては、インプラントの方がしっかりとした噛む力を提供します。

インプラントはあごの骨に直接固定されるため、天然歯に近い感覚で食事を楽しむことができ、長期間にわたって安定した機能を維持できます。

また、通院頻度やメンテナンスの手間も考慮して、生活スタイルに合わせて、自分に合った治療法を選びましょう。

まとめ

差し歯は歯根が残っている場合に利用され、治療期間が短く費用も抑えられるのが特徴です。一方、インプラントは歯根がない場合に選ばれ、噛む力や審美性に優れています。

自身の口腔内の状況や生活スタイル、希望に合わせて選ぶと良いでしょう。

小嶋デンタルクリニックでは、インプラント治療を専門的に行っており、最新の設備と技術を駆使して、患者一人ひとりに最適な治療を提供しています。

患者の生活スタイルや口腔内の状態に合わせた治療法の提案を行い、安心して治療を受けられる環境を整えています。

インプラントでお悩みの方は、ぜひ小嶋デンタルクリニックにご相談してください。

インプラントにしたいけどお金がない場合の対処法3選!

インプラントにしたいけどお金がない場合の対処法3選!

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を自然に回復できる治療ですが、その高額な費用が気になって迷っている方も多いかもしれません。

この記事では、インプラント治療の基本と、なぜ費用が高くなるのかについて詳しく解説します。

また、予算に限りがある場合に役立つ具体的な対処法を3つご紹介し、インプラント以外の治療法やインプラント治療の利点についても丁寧に説明します。

インプラントしたいけどお金がないことにお悩みの方に向けて、インプラント治療を前向きに検討できるような情報をお届けします。

インプラント治療とは?

インプラント治療とは?

インプラントという言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういった治療方法なのか詳しく知らない方もいるかもしれません。

ここでは、インプラント治療についてと、その特徴について詳しく解説していきます。

人工の歯根をあごの骨に埋め込む治療

インプラント治療は、失った歯の代わりに人工の歯根をあごの骨に埋め込む治療法です。

人工歯根は『インプラント体』と呼ばれ、通常はチタン製で、骨としっかり結合する特性を持っています。

治療の流れとしては、まずインプラント体をあごの骨に埋め込み、その上に『アバットメント』と呼ばれる支台部を装着し、最終的に人工の歯を取り付けます。

これにより、見た目や機能が天然の歯に近い状態を再現できる点が特徴です。

手術後のメンテナンスも欠かせないため、長期的なケアも考慮する必要があります。それでも、その自然な仕上がりと機能性から、多くの患者さんに選ばれている治療法です。

1本あたり30万~50万円程度が相場

インプラント治療の費用は、1本あたり30万~50万円程度が相場とされています。

この価格帯には、インプラント体の埋入手術費用や人工歯の作製費用、事前の検査や診察料などが含まれます。

ただし、患者さんの口腔内の状態や使用する材料、歯科医院の設備や技術力、地域によって、最終的な費用は大きく変動する場合があるため注意しましょう。

インプラント治療が高額になる理由

インプラント治療が高額になる理由

インプラント治療は、他の歯科治療と比べて高額になるケースが多く、その費用に不安を感じる方もいるでしょう。

しかし、費用が高額な理由には、治療の質や安全性を確保するためのさまざまな要素が関わっています。ここでは、なぜインプラント治療が高額になるのか、その主な理由について詳しく解説します。

保険適用外である

インプラント治療が高額になる理由の一つは、保険適用外であるためです。

日本の公的医療保険制度では、歯科治療においても基本的に『機能回復』を目的とした治療に対してのみ保険が適用されます。

例えば、虫歯や歯周病による治療や、入れ歯やブリッジの作製などがこれに該当します。しかし、インプラント治療は、単に機能を回復するだけでなく、審美性や快適性を追求する側面が強いため、自費診療に分類されます。

これは、保険適用範囲を超えた『より良い』結果を求める治療とみなされるためです。

また、インプラント治療以外の選択肢として入れ歯やブリッジがあり、これらは保険適用内で行えるため、国は最低限の機能回復を担保できると判断します。

そのため、インプラントはあくまで患者さんの希望による選択肢とされ、保険適用外となっています。

ただし、先天的なあごの骨の欠損や事故による大規模な骨損失の場合など、特定の条件下では例外的に保険が適用されることもあるため、歯科医師に相談してみると良いでしょう。

高度な技術と設備が必要

インプラント治療は、通常の歯科治療とは異なり、外科手術を伴う高度な医療行為のため、歯科医師には専門的な知識と技術が求められます。

特に、あごの骨にインプラント体を正確に埋め込むためには、骨の状態や神経の位置を正確に把握し、最適な位置に埋入する高度な技術が必要です。

インプラント治療を行う歯科医師は、長期間の研修や実践経験を積むことが求められ、その技術料が治療費に反映されます。

さらに、インプラント手術には専用の設備も不可欠です。例えば、CTスキャンなどの精密な検査機器を使ってあごの骨や神経の位置を事前に確認し、安全かつ正確に手術を進める必要があります。

また、手術室は徹底した衛生管理が求められ、感染リスクを抑えるための滅菌設備や使い捨て器具なども使用されます。これらの設備投資や維持費用も治療費を押し上げる要因となっています。

このように、高度な技術と最新の設備が必要不可欠であることから、インプラント治療は他の歯科治療と比べて高額になる傾向があります。

治療期間が長く、手術後のメンテナンスも必要

治療期間が長く、手術後のメンテナンスも必要であることも、インプラント治療が高額になる理由の一つです。

インプラント治療は、単に歯を埋め込むだけではなく、あごの骨とインプラント体をしっかり結合させるために3~6ヶ月程度の治癒期間を要します。

この期間中に無理をして早く次のステップに進むと、インプラント体が安定せず、治療が失敗するリスクが高まってしまうため、十分な時間をかけて治癒を待つことが求められます。

さらに、インプラント治療は完了後も定期的なメンテナンスが欠かせません。

インプラントは人工物のため虫歯にはなりませんが、周囲の歯茎や骨が炎症を起こす『インプラント周囲炎』と呼ばれるトラブルが発生する可能性があります。

インプラント周囲炎を防ぐためには、定期的に歯科医院でクリーニングや検査が必要です。適切なメンテナンスを行うことで、インプラントの寿命を延ばし、何十年も使用できる可能性があります。

お金がない場合の対処法3選

お金がない場合の対処法3選

インプラント治療は高額な費用がかかるため、治療を希望していても金銭的な負担が大きく、躊躇してしまう方も多いでしょう。しかし、費用面でのハードルを乗り越えるための方法はいくつか存在します。

ここでは、インプラント治療を受けたいけれどお金がない場合に検討できる3つの対処法についてご紹介します。

クレジットカード払い

多くの歯科医院では、クレジットカードでの決済に対応しています。

一括払いだけでなく、分割払いやリボ払い、ボーナス払いなど、さまざまな支払い方法を選択でき、月々の支払い額を抑えながら治療を受けられます。

ただし、クレジットカードの分割払いを利用する場合、手数料が発生する点には注意が必要です。

例えば、3回以上の分割払いやリボ払いでは金利がかかるため、総支払額は現金一括払いよりも高くなることがあります。

2回払いまでなら手数料がかからない場合もあり、ボーナス時期にまとめて支払うことで手数料を抑えることも可能です。

また、クレジットカードの利用限度額にも注意が必要です。インプラント治療は1本あたり30万~50万円と高額になるため、利用限度額を超えそうな場合は事前に増額申請を検討しましょう。

さらに、歯科医院によっては対応しているクレジットカードブランドが異なるため、事前に使用できるか確認しておくことも重要です。

デンタルローンの利用

デンタルローンとは、信販会社や金融機関が提供する、歯科治療に特化したローンであり、通常のローンよりも低金利で利用できるのが特徴です。

一般的に、金利は4~8%程度で、クレジットカードの分割払いよりも手数料が抑えられるため、費用負担を軽減できます。

デンタルローンを利用する際には、治療費の全額または一部をローンで支払うことが可能で、インプラント治療費が50万円の場合、そのうち30万円だけローンを組むといった柔軟な対応もできます。

また、最大で84回払いなど長期の分割払いに対応しているローンもあり、月々の支払い額を大幅に抑えることができるでしょう。

手続きは比較的簡単で、多くの歯科医院がデンタルローンの申し込みをサポートしており、治療計画と合わせてローンの相談ができます。

ただし、すべての歯科医院がデンタルローンに対応しているわけではないため、事前に確認しておくことが重要です。

一方で、デンタルローンにも審査があり、安定した収入や信用情報が求められます。また、返済中に滞納すると信用情報に傷がつく可能性もあるため、無理のない返済計画を立てましょう。

医療費控除の活用

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税や住民税の一部が還付される制度です。

その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が10万円以上、または総所得金額の5%を超える場合に適用されます。

インプラント治療は保険適用外ですが、審美目的ではなく機能回復を目的とした医療行為と見なされるため、医療費控除の対象となります。

治療費だけでなく、通院にかかった交通費も対象となるため、記録をしっかりと保管し、翌年の確定申告で申請しましょう。申告を忘れた場合でも、過去5年間さかのぼって申請が可能です。

また、家族全員の医療費を合算して申請できるため、生計を共にする家族がいる場合は、その合計金額で控除を受けられます。

医療費控除を活用すれば、インプラント治療にかかる高額な費用の一部が還付されるため、結果的に負担が軽減されます。

確定申告は少し手間がかかりますが、大きな節税効果が期待できるため、ぜひ検討してみてください。

インプラント以外の選択肢

インプラント以外の選択肢

インプラント治療は優れた選択肢ですが、費用や手術の必要性などから、他の治療法を検討する方も少なくありません。インプラント以外にも、歯を失った際に利用できる治療法がいくつかあります。

ここでは、インプラント以外の代表的な選択肢について、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

入れ歯

入れ歯は、歯を失った際に選択できる治療法の一つで、部分入れ歯と総入れ歯に分かれます。

部分入れ歯は、失った歯が数本の場合に使用され、残っている歯に金属のフックをかけて固定し、総入れ歯はすべての歯を失った場合に使用され、歯茎全体で支える構造です。

メリット デメリット
  • 保険適用が可能
  • 費用を抑えられる
  • 外科手術が不要
  • 比較的短期間で製作できる
  • 装着時に違和感が生じやすい
  • 固定力が弱い
  • 金属のフックが目立ちやすい
  • 食べ物が挟まりやすい
  • 手入れに手間がかかる

入れ歯は多くの症例に対応できるため、多くの人にとって現実的な選択肢となっています。

ブリッジ

ブリッジは、欠損部分の両隣の健康な歯を支えにして人工歯を固定する方法です。両隣の歯を削って被せ物をし、その間に人工歯を橋渡しするように装着するため、ブリッジと呼ばれています。

メリット デメリット
  • 保険適用が可能
  • 費用を抑えられる
  • 外科手術が不要
  • 比較的短期間で治療が完了する
  • 健康な両隣の歯を削る必要がある
  • 虫歯や歯周病になるリスク
  • ブリッジと歯茎の間に食べ物がつまりやすい
  • 審美性が劣る

ブリッジは短期間で機能回復できる一方で、他の歯への影響やメンテナンス面で注意が必要な治療法です。

インプラント治療のメリット

インプラント治療のメリット

インプラント治療は、失った歯を補うための治療法の中で、特に機能性や見た目の自然さが優れています。

ここでは、インプラント治療の主なメリットについて、分かりやすく解説します。

長期的な視点で考えるコストパフォーマンス

インプラント治療は初期費用が高額ですが、長期的に見るとコストパフォーマンスに優れた治療法です。

入れ歯やブリッジは比較的安価で始められるものの、数年ごとに修理や交換が必要になるため、長期的には追加の費用がかかります。

一方、インプラントは適切なメンテナンスを行えば10年以上使用できることが多く、再治療の頻度が少ないため、結果的にトータルコストを抑えることを期待できます。

機能と自然な見た目を取り戻せる

インプラントはあごの骨にしっかりと固定されるため、噛む力が均等に伝わり、天然歯とほぼ同じ感覚で食事や会話を楽しめます。

また、上部構造にはセラミックやジルコニアなどの高品質な素材が使用されるため、見た目も非常に自然で、周囲の歯と調和します。

これにより、口を開けた際にインプラントであることが目立ちにくく、自信を持って笑顔を見せることができるでしょう。

審美性と機能性を両立する点で、インプラントは他の治療法よりも優れた選択肢となります。

周囲の歯への負担が少ない

インプラントはあごの骨に直接埋め込まれるため、他の歯に依存せずに独立して機能します。

従来のブリッジ治療では、失った歯を補うために隣接する健康な歯を削って支えにする必要がありますが、インプラントではそのような処置が不要です。

健康な歯を削ることなく残せるため、将来的にも他の歯を守ることができます。

また、インプラントは噛む力を均等に分散させるため、咬合バランスが改善され、他の歯への過度な負担も軽減されます。インプラントは周囲の歯を保護しながら自然な機能を回復できる優れた治療法です。

まとめ

インプラント治療は高額ですが、クレジットカード払い、デンタルローン、医療費控除などを活用することで費用負担の軽減が可能です。

入れ歯やブリッジといった代替治療もありますが、インプラントは長期的なコストパフォーマンスや自然な見た目、周囲の歯への負担が少ない点で優れています。

小嶋デンタルクリニックでは、最新の技術と設備を駆使し、患者様一人ひとりに最適なインプラント治療を提供しています。

インプラントには最長で10年保証が付いており、定期的なメンテナンスを通じて長期間安心して使用できる環境を整えています。

インプラントしたいけどお金がないとお悩みの方は、ぜひ小嶋デンタルクリニックにご相談ください。

インプラントと入れ歯どっちがいい?メリット・デメリットと選び方を解説

インプラントと入れ歯どっちがいい?メリット・デメリットと選び方を解説

歯を失った際の治療法として、インプラントと入れ歯、どちらを選ぶべきか悩む方は多いでしょう。

それぞれにメリットやデメリットがあり、費用や治療期間、手入れのしやすさなど、多くの要素が関わってきます。

この記事では、インプラントと入れ歯の違いをわかりやすく解説し、それぞれの利点や注意点について詳しくご紹介します。

インプラントと入れ歯の違い

インプラントと入れ歯の違い

インプラントと入れ歯は、どちらも失った歯の機能を回復させる方法ですが、その特徴や適用方法には大きな違いがあります。

ここでは、手術の有無、保険適用の可能性、治療にかかる期間、そして日々のケア方法など、主要な観点からインプラントと入れ歯の違いを詳しく見ていきます。

手術の有無

インプラントと入れ歯の最も顕著な違いの一つは、手術の有無です。

インプラント治療では、顎骨に人工歯根を埋め込む外科的処置が不可欠で、局所麻酔下で行われ、通常1〜2時間程度かかります。

手術後は、人工歯根と顎骨が癒合するまでの数ヵ月間、治癒期間が必要です。

一方、入れ歯の場合は外科的処置を必要とせず、歯科医師が口腔内の型取りを行い、それをもとに歯科技工士が入れ歯を作製します。

その後、歯科医師が患者さんの口腔内で適合を確認し、必要に応じて調整を行います。このプロセスは比較的短期間で完了し、患者さんへの身体的負担も少なくて済むでしょう。

保険適用の有無

インプラントと入れ歯の大きな違いの一つに、保険適用の有無があります。

一般的に、インプラント治療は自費診療として扱われ、保険適用外となるため、患者は治療費の全額を自己負担する必要があり、1本あたり30万円から50万円程度の高額な費用がかかります。

一方、入れ歯は保険適用が可能な治療法です。

保険適用の入れ歯であれば、患者さんの自己負担額は大幅に抑えられ、総入れ歯で約10,000円から15,000円、部分入れ歯で約5,000円から10,000円程度となります。

経済的な負担を考慮すると入れ歯が有利ですが、咀嚼力や快適さを重視する場合はインプラントが魅力的な選択肢となります。患者さんの状況や希望に応じて、適切な治療法を選択してください。

処置後のお手入れ方法

インプラントは顎骨に固定されているため、天然歯と同様のケアが可能です。通常の歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、インプラント周囲の清掃を行います。

電動歯ブラシも効果的で、特にインプラント専用のブラシヘッドを使用すると良いでしょう。

一方、入れ歯は取り外しが可能なため、異なるアプローチが必要で、毎食後、または少なくとも1日1回、入れ歯を取り外して専用のブラシで洗浄します。

入れ歯洗浄剤を使用すると、より効果的に細菌を除去でき、入れ歯を外した後の残存歯や歯肉、舌のブラッシングなどの口腔内のケアも重要です。

インプラントは長期的なメンテナンスが必要で、定期的な歯科検診が推奨される一方、入れ歯は定期的な調整や再作製が必要になる場合があります。

両者とも、適切なケアを行うことで、口腔内の健康を維持し、処置の寿命を延ばすことができます。

インプラントのメリット・デメリット

インプラントのメリット・デメリット

インプラントは、失った歯の機能を最も自然に近い形で回復させる治療法として注目されていますが、他の治療法と同様に、インプラントにもメリットとデメリットが存在します。

ここでは、インプラント治療を検討している方々に向けて、その長所と短所を詳しく解説します。

メリット

インプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復する優れた選択肢です。その主なメリットは以下の通りです。

  • 天然歯に近い見た目と機能
  • 安定性と噛む力
  • 周囲の歯への影響

インプラントは、周囲の歯と調和するよう色調や形状が調整されるため、自然な笑顔を取り戻せるでしょう。

また、顎骨に直接固定されるため、咀嚼時の感覚も天然歯に近く、食事を楽しむ喜びを再び味わえるようになります。

従来のブリッジ治療では、隣接する健康な歯を削って支台とする必要がありましたが、インプラントではそのような処置が不要で、健康な歯を保護し、将来的な歯の問題リスクを軽減できます。

インプラントは単に失った歯の代替としてだけでなく、口腔全体の健康と機能を維持・向上させる優れた治療法といえます。

デメリット

インプラント治療の主なデメリットについて解説します。

  • 高額な費用
  • 手術のリスク
  • メンテナンスの必要性

一般的に、1本のインプラントにかかる費用は30万円から50万円程度と言われています。この金額は、保険適用外の自費診療であるため、患者さんが全額自己負担しなければなりません。

インプラント治療は外科的処置を伴うため、感染症や神経損傷、上顎を傷つけてしまうリスクが存在します。

天然歯と異なり、インプラントには歯根膜がなく、細菌感染に対する抵抗力が低くなっているため、日常的なケアに加えて、定期的な歯科検診が推奨されています。

費用、リスク、そしてメンテナンスの必要性を考慮した上で、歯科医師と相談しながら最適な治療法を選択しましょう。

入れ歯のメリット・デメリット

入れ歯のメリット・デメリット

入れ歯は、長年の使用実績と技術の進歩により、多くの患者さんにとって信頼できる選択肢です。しかし、インプラント治療と同様に、入れ歯にも独自のメリットとデメリットが存在します。

ここでは、入れ歯治療を検討している方々に向けて、その長所と短所を詳しく解説します。

メリット

入れ歯には、以下の3つのメリットが挙げられます。

  • 低コスト(保険適用)
  • 手術不要
  • 短期間で治療完了

入れ歯の最大の利点の一つは、その費用の手頃さです。特に保険適用の入れ歯は、患者さんの経済的負担を大幅に軽減します。

また、手術の必要がないため、手術に伴うリスクや不安を避けられるでしょう。治療期間は2週間から1ヶ月程度と短い期間で、日常生活に戻れることも大きなメリットといえるでしょう。

デメリット

入れ歯にもメリットと同様にデメリットも存在します。

  • 違和感や痛み
  • 噛む力の低下
  • 定期的な調整や交換の必要性

口腔内の粘膜に圧力がかかり、不快感や痛みを引き起こす可能性があります。この症状は時間とともに軽減されることが多いですが、適応には個人差があります。

入れ歯は天然歯ほどの咀嚼力を発揮できないため、噛む力の低下を感じるでしょう。

通常、入れ歯の咀嚼効率は天然歯の30%程度とされており、食事の際に制限を感じる場合があります。特に硬い食べ物や繊維質の多い食材を噛むのが難しくなることがあります。

さらに、入れ歯は定期的な調整や交換が必要です。

口腔内の状態は時間とともに変化し、顎骨の形状も徐々に変化していくため、入れ歯と口腔内のフィット感が悪くなり、装着感や機能性が低下することがあります。

また、入れ歯自体も摩耗や劣化が進むため、定期的なメンテナンスや数年ごとの交換が推奨されます。

自身の状況に合わせて、歯科医師と相談しながら最適な口腔ケアの方法を見つけましょう。

インプラントと入れ歯の選び方

 インプラントと入れ歯の選び方

インプラントと入れ歯は、どちらも失った歯の機能を回復させる有効な治療法ですが、それぞれに特徴があり、患者さんの状況によって最適な選択肢が異なります。

ここでは、インプラントと入れ歯のどちらを選ぶべきか、判断の基準となる要素について詳しく解説します。

費用や手入れを重視する場合

費用や手入れを重視する場合、入れ歯が適切な選択肢すると良いでしょう。入れ歯は保険適用が可能なため、経済的負担が比較的軽くなります。

インプラント 入れ歯
費用 1本:30万~50万円 総入れ歯:1万~1万5,000円

部分入れ歯:5,000~1万円

手入れ 日常のお手入れと、定期的な歯科検診が必要 取り外して洗浄が可能

手入れの面では、入れ歯は取り外しが可能で、専用のブラシや洗浄剤を使用して丁寧に清掃できるため、口腔内の衛生状態を維持しやすくなります。

噛み心地や審美性を重視する場合

噛み心地や審美性を重視する場合、インプラント治療を選択しましょう。インプラントは顎骨に直接固定されるため、天然歯に近い安定感と咀嚼力を実現できます。

インプラント 入れ歯
咀嚼力 天然歯の90%まで回復 天然歯の20~30%まで回復
審美性 周囲の歯と調和した自然な見た目 金属のクラスプ(バネ)が目立つ

ただし、インプラント治療には高額な費用と長期間の治療が必要となります。

また、顎骨の状態や全身の健康状態によっては適応できない場合もあるため、噛み心地や審美性を重視しつつも、個々の状況に応じて歯科医師と相談しましょう。

健康状態による選択

インプラント治療は外科的処置を伴うため、全身の健康状態が良好であることが前提となります。

高血圧、糖尿病、骨粗しょう症などの慢性疾患がある場合、インプラント治療のリスクが高まる可能性があり、特に骨の状態や血液凝固機能に影響を与える疾患は、治療の成功率に直接関わってきます。

一方、入れ歯は非侵襲的な治療法であり、健康上の制約が比較的少ないのが特徴です。重度の全身疾患を抱えている患者さんでも、入れ歯による治療は可能な場合が多いです。

ただし、口腔内の状態や残存歯の健康状態によっては、入れ歯の適合や使用感に影響が出ることもあるため注意が必要です。

健康状態による選択では、単に現在の状態だけでなく、将来的な健康管理の見通しも考慮する必要があります。

例えば、若年層で全身状態が良好な場合はインプラントが適している可能性が高いですが、高齢者や複数の慢性疾患を抱えている場合は、入れ歯の方が安全で管理しやすい選択肢となるかもしれません。

最終的には、歯科医師との詳細な相談を通じて、個々の健康状態に最適な治療法を選択を選択しましょう。

よくある質問

よくある質問

ここでは、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。インプラント治療と入れ歯の適応条件、寿命など、さまざまな観点から解説します。

インプラント治療ができないケースとは?

インプラント治療は、失った歯の機能を回復する効果的な方法ですが、すべての人が適応できるわけではありません。主なインプラント治療ができないケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

  • 顎骨の成長が完了していない18歳以下
  • 骨密度が低下している高齢者
  • 糖尿病や心臓病、骨粗しょう症などの慢性疾患がある場合
  • 重度の歯周病や虫歯がある場合
  • 喫煙習慣のある方
  • 定期的なメンテナンスに通院できない方

ただし、これらの条件に該当する場合でも、必ずしもインプラント治療が不可能というわけではありません。

適切な前処置や代替治療法の検討、生活習慣の改善などにより、インプラント治療の可能性が開かれることもあります。歯科医師と十分に相談しながら最適な治療法を選択しましょう。

インプラントと入れ歯の寿命の違いは?

インプラントと入れ歯の寿命には、顕著な違いがあります。

インプラントは、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで、10年以上の長期使用が可能で、入れ歯の平均的な寿命は3〜5年程度です。

口腔内の状態変化や入れ歯自体の劣化が主な要因で、顎骨の形状変化により、入れ歯が合わなくなることも多く、定期的な調整や作り直しが必要です。

インプラントは顎骨に直接固定されるため、骨の萎縮を防ぎ、長期的な口腔機能の維持に貢献するのに対して入れ歯は、歯茎や顎骨への負担が大きく、長期使用による骨の痩せを招く可能性があります。

ただし、インプラントの寿命は個人の口腔衛生習慣や全身の健康状態に大きく左右され、喫煙や糖尿病などのリスク要因がある場合、インプラントの寿命が短くなる可能性があります。

まとめ

インプラントは天然歯に近い機能と見た目を実現しますが、高額で手術が必要な一方、入れ歯は低コストで手術不要ですが、違和感や噛む力の低下があります。

費用や手入れを重視する場合は入れ歯、噛み心地や審美性を重視する場合はインプラントを選ぶと良いでしょう。

健康状態や個人の状況に応じて、歯科医師と相談しながら最適な選択をすることが重要です。

小嶋デンタルクリニックでは、インプラントと入れ歯、それぞれの特徴や長所短所を丁寧に説明し、患者様の口腔内の状態、生活スタイル、予算などを総合的に考慮した上で、最適な治療法をご提案いたします。

インプラントをご検討の方は、ぜひ小嶋デンタルクリニックにご相談ください。

インプラントは高い?費用相場と内訳・費用を抑える方法を解説

インプラント1本あたりの費用相場
インプラント治療は、自然な見た目で天然歯とほとんど見分けがつかない優れた方法ですが、費用の高さに不安を感じる方も少なくありません。

この記事では、インプラントの費用相場とその内訳、費用が高くなる理由、そして費用を抑える方法について詳しく解説します。

医療費控除の可能性や、治療費用に関する注意点なども含めて、インプラント治療の費用について総合的に理解を深めていきましょう。

インプラント1本あたりの費用相場

インプラント1本あたりの費用相場

インプラント治療は失った歯を補うための効果的な方法ですが、費用は決して安価なものではないため事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

ここでは、1本あたりの費用相場や内訳、前歯と奥歯の価格差について解説します。

1本当たり30万円~50万円程度

インプラント治療にかかる費用相場は、1本あたり約30万円から50万円程度とされています。

この価格には、インプラント体(人工歯根)、アバットメント(つなぎ部分)、そして人工歯(歯冠部分)の費用や、手術費用、診察料、術後のメンテナンス費用も含まれることが一般的です。

ただし、地域や歯科医院によって価格に差が出る場合があります。

都市部では、地価や人件費が高いため、治療費も高くなる傾向があり、東京や大阪などの大都市では、1本あたりの費用が50万円を超えることも珍しくありません。

クリニックを選ぶ際には複数の見積もりを取り、じっくりと比較してから決定しましょう。

費用の内訳

インプラント1本あたりの費用は、治療の各段階ごとに分かれています。以下がインプラント治療にかかる費用の主な内訳です。

  • 検査・診断料:15,000~50,000円程度
  • 人工歯:50,000~200,000円程度
  • 手術費用:150,000円~350,000円程度
  • メンテナンス費用:1,500~10,000円程度

追加で骨造成や仮歯が必要な場合は、さらに費用が発生するケースもあるため、具体的な見積もりや治療計画を歯科医とよく相談すると良いでしょう。

前歯と奥歯の価格差

奥歯と前歯のインプラント費用には大きな差はありませんが、一般的に前歯は審美性が重視されるため、高くなる傾向があります。

前歯に使用する人工歯には自然な見た目を再現するため、高品質な材料(セラミックやジルコニアなど)が使われることが多く、これが費用を押し上げる要因となります。

インプラント治療の費用が高い理由

インプラント治療の費用が高い理由

インプラント治療は他の歯科治療に比べて高額になることが多いですが、それにはいくつかの理由があります。

インプラントは、単に人工歯を埋め込むだけでなく、骨や歯茎の状態を考慮し、精密な技術と高品質な材料が必要です。また、最新の設備や高度な衛生環境が求められるため、治療費が高くなる傾向があります。

ここでは、インプラント治療が高額になる主な要因について詳しく解説します。

インプラント本体の材料が高価

インプラント治療で使用されるインプラント本体は、顎の骨に埋め込まれる人工歯根であり、長期間体内に留まることが前提のため、生体適合性が高く、耐久性に優れた素材が使用されます。

多くのインプラントの材料は、高品質な材料であるチタンやジルコニアです。

チタンは、骨と結合しやすく、拒絶反応が少ないという特徴を持っており、インプラント治療において一般的な素材ですが、製造過程で高度な精度と品質管理が求められるため、コストが高くなります。

また、ジルコニアは審美性が高く、金属アレルギーのリスクを避けたい患者さんに選ばれますが、その分チタンよりもさらに高額になる場合があります。

これらの材料は単に高価なだけではなく、安全性や長期的な機能性を確保するために不可欠な要素です。結果として、インプラント治療全体の費用が他の歯科治療と比べて高額になる主な理由の一つとなっています。

セラミックを使用

インプラント治療では、人工歯の部分にセラミックが使われることが多いです。

セラミックは、見た目が天然歯に非常に近く、透明感や光沢感が優れているため、特に前歯など審美性が求められる部位でよく使用されます。

また、汚れがつきにくく、変色しにくいという特徴もあり、長期的な美しさを保つことができます。

しかし、その一方で、セラミック自体の材料費が高額であり、さらに製作には高度な技術と手間がかかるため、技工士の技術料も費用に含まれます。

これらの要因から、セラミックを使用するインプラント治療は他の素材に比べて高額になることが一般的です。

審美性と機能性を兼ね備えた素材であるため、高価ではありますが、多くの患者さんに支持されています。

最新の設備が必要

インプラント治療は非常に精密な処置を伴うため、治療の成功率を高めるためには、最新の技術を駆使した設備が欠かせません。

例えば、歯科用CTスキャンを使用することで、顎の骨や神経の位置を正確に把握し、インプラントを埋入する最適な位置を計画できます。これにより、手術のリスクを減らし、安全性と精度が向上します。

また、手術中にはコンピュータガイドシステムや3Dプリンティング技術も活用されることがあり、インプラントの埋入位置や角度を事前にシミュレーションを行います。

これらの高度な機器は導入や維持にコストがかかるため、その分治療費にも反映されます。

衛生環境の整備が必要

インプラント治療は顎の骨に直接埋め込む外科手術であり、細菌感染を防ぐために、治療環境の清潔さが重要で、通常の歯科治療以上に徹底した衛生管理が必要です。

具体的には、滅菌された器具や使い捨ての手術用品を使用することはもちろん、手術室自体も清潔な状態を保つ必要があります。

多くの歯科医院では、専用のオペ室や空気清浄機を備えた設備を導入し、空気中の細菌やウイルスを除去することで無菌的な環境を維持しています。

また、インプラント手術に使用する器具は、全て高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)で滅菌処理され、安全な状態で保管されているため、衛生管理を徹底するためには、高度な設備投資が必要です。

専用の滅菌機器やクリーンルームの維持にはコストがかかり、その分が治療費に反映されることになります。

保険診療が適用されないため

日本の公的医療保険制度では、基本的に日常生活に必要な最低限の機能回復を目的とした治療に対して保険が適用されます。

例えば、入れ歯やブリッジなどは保険適用となりますが、インプラント治療は審美性や機能性を高める自費診療に分類されるため、保険の対象外です。

インプラント治療にかかる、手術費用や材料費、診察料などの費用をすべて自己負担で支払う必要があります。

ただし、生まれつき顎の骨が大きく欠損している場合や、事故や病気で顎の骨を大部分失った場合などの特定の条件下では例外的に保険が適用されるケースもあります。

医療費控除の可能性

医療費控除の可能性

インプラント治療は保険適用外となるため高額な費用がかかりますが、一定の条件を満たすことで医療費控除を受けることができます。

ここでは、医療費控除の条件や、申請方法について解説します。

医療費控除の対象

医療費控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 支払った医療費が10万円以上、または総所得金額の5%を超えること(総所得金額が200万円未満の場合)
  • 納税者本人、または生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払い分は翌年に申請)
  • 自費診療も対象だが、美容目的や予防目的の治療は対象外
  • 通院にかかった交通費(公共交通機関を利用した場合)も含まれる

以上の条件を満たしていれば、インプラント治療も医療費控除の対象となり、税負担の軽減が期待できます。

確定申告で申請

医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。以下の手順に従って申請を行いましょう。

  1. 必要書類の準備(医療費控除の明細書、源泉徴収票、交通費の記録、本人確認書類)
  2. 申請書類の作成
  3. 医療費控除額の計算
  4. 税務署へ提出(オンラインでの提出または郵送・持参)
  5. 還付金の受け取り

すべての医療費を記載した明細書を準備します。2017年以降、領収書の提出は不要ですが、領収書は5年間保管する義務があります。

通院にかかった公共交通機関の費用も控除対象となるため、メモしておきましょう。ただし、タクシーや自家用車のガソリン代は対象外のため注意が必要です。

税務署や国税庁のウェブサイトからダウンロードできる確定申告書に必要事項を記入します。オンラインで申告する場合は、国税庁の「e-Tax」システムを利用して入力・送信できます。

医療費控除額は、支払った医療費から保険金などで補填された金額を差し引き、さらに10万円(または所得が200万円未満の場合は総所得金額の5%)を引いた金額です。

申告1〜2ヶ月後、還付金は指定した銀行口座に振り込まれます。

インプラント治療費用負担を抑える方法

インプラント治療費用負担を抑える方法

インプラント治療は高額な治療費がかかるため、費用負担を抑える方法を知りたいと考える方は少なくないでしょう。

ここでは、インプラント治療の費用を抑えるための具体的な方法について詳しく解説します。

複数の歯科医院の見積もりを比較

インプラント治療は自由診療であり、歯科医院によって費用が大きく異なることがあるため、複数の歯科医院で見積もりを比較すると良いでしょう。

治療費には、使用するインプラントの種類やメーカー、手術に必要な設備、医師の技術力などが反映されるため、同じ治療内容でも価格差が生じる場合があります。

見積もりを比較する際は、価格だけでなく、治療内容やアフターケアも含めて検討することが重要です。例えば、CTスキャンや骨造成の有無、使用するインプラントの品質などが異なる場合があります。

ただし、極端に安い見積もりには注意が必要で、安全性や治療の質が犠牲になる可能性もあるため、信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。

また、見積もりを取る際には、インプラント本体の費用だけでなく、手術費用やメンテナンス費用なども含めた総額を確認し、自分に合った治療計画を立てることがポイントです。

インプラントブリッジの活用

複数本のインプラントを埋め込む場合、それぞれに高額な費用がかかります。

しかし、インプラントブリッジでは、少ない本数のインプラントを支柱として使用し、その上にブリッジを架けることで、必要なインプラントの本数を減らすことが可能です。

例えば、3本連続して歯を失った場合、すべてにインプラントを埋め込むのではなく、2本のインプラントで3本分の歯を支えることができます。

これにより、外科手術の回数や費用が削減でき、身体への負担も軽減されます。

ただし、インプラントブリッジは通常のブリッジと異なり、支えとなるインプラントや周囲の歯に均等な力がかかるように設計する必要があるため、高度な技術が求められます。

そのため、信頼できる歯科医師による適切な診断と治療計画が重要です。

分割払いやデンタルローンの利用

インプラント治療は高額なため、一度に全額を支払うのが難しい方も多いでしょう。そんな場合に有効な方法が、分割払いやデンタルローンの利用です。

多くの歯科医院では、クレジットカードやデンタルローンを利用して、治療費を分割で支払うことが可能です。

ただし、クレジットカード会社によっては金利手数料がかかるため、総額が高くなることもあるので、事前に確認しておきましょう。

デンタルローンは、歯科治療専用のローンで、通常のクレジットカードよりも金利が低めに設定されていることが多いです。

信販会社や金融機関が治療費を立て替え、患者さんは信販会社や金融機関へ月々の返済を行います。

最大で数年にわたる分割払いが可能で、月々の負担を大幅に軽減できるため、高額なインプラント治療でも無理なく支払えるようになりますが、審査基準を満たさない場合には利用できない場合もあります。

ローンを組む際には金利や返済期間などをしっかり確認し、自分の生活に合った返済計画を立てましょう。

インプラント治療費用に関する注意点は?

インプラント治療費用に関する注意点は?

トラブルを避けるため、インプラント治療費用に関する注意点を理解しておきましょう。インプラント治療費用に関する注意点は以下の通りです。

  • 追加費用が発生しないか
  • 治療計画変更時の費用変動
  • 支払方法と時期の確認
  • 格安治療への注意
  • 保証内容の確認

治療中に骨造成や仮歯の装着など、予期せぬ追加処置が必要になる場合があります。事前に見積もりに含まれている内容を確認し、追加費用の可能性についても歯科医に相談しておきましょう。

治療計画が変更されると、費用も変動することがあります。治療が進む中で計画が変わった際には、その都度費用について確認することが大切です。

支払い方法やタイミングは歯科医院によって異なります。クレジットカードやデンタルローンを利用できるか、また分割払いが可能かどうかを事前に確認しておきましょう。

低価格なインプラント治療は、材料や技術の質に問題がある可能性があります。価格だけで判断せず、信頼できる歯科医院を選ぶことが大切です。

インプラントには保証制度を設けている歯科医院もあります。保証期間や範囲は医院ごとに異なるため、治療後のメンテナンスや万が一のトラブル時にどのような対応が受けられるかを事前に確認しておきましょう。

不明点は事前に質問をし、納得したうえで契約することが大切です。

まとめ

インプラント治療にかかる費用相場は、1本あたり約30万円から50万円程度が相場とされています。

保険適用外ですが、医療費控除やデンタルローン、インプラントブリッジを活用することで、費用負担を軽減できるでしょう。

小嶋デンタルクリニックでは、最新鋭の設備と高度な技術を駆使し、患者様一人ひとりに最適なインプラント治療を提供しています。

患者様との信頼関係を何よりも大切にし、治療について患者様にしっかりとご理解いただいた上で、治療を開始いたします。

インプラントをご検討の方は、ぜひ小嶋デンタルクリニックにご相談ください。