Q&Aよくある質問
患者様からよく寄せられるインプラント治療の疑問、不安について専門医がお答えします。
インプラントの基礎知識
Qインプラント治療の成功率はどのくらいですか?
インプラント治療の成功率は非常に高く、健全な骨の状態で1本のインプラントを埋入する場合、成功率は95%近く、複数本のインプラント埋入においてはそれ以上の成功率が論文で発表されています。
Qインプラントに使われる金属は何ですか?
インプラントには主に「チタン」が使われています。チタンは生体親和性(身体になじみやすい性質)に優れた金属で、あごの骨としっかり結合することが科学的にも証明されています。そのため、世界中でインプラント治療に広く採用されています。
また、近年では「ジルコニア製インプラント」も注目されています。ジルコニアは金属ではなくセラミックの一種で、チタンアレルギーのある方でも使用できるというメリットがあります。
Qインプラントの構造はどうなっていますか?
インプラントは、3つの主要なパーツからできています。それぞれの役割を簡単にご説明します。
【1】インプラント体(フィクスチャー、人工歯根)
顎の骨の中に埋め込まれる土台の部分です。
生体親和性の高いチタン(身体になじみやすい金属)を使用することが多いです。
【2】アバットメント
インプラント体と上部構造(被せ物)をつなぐ中間パーツです。
スクリューで固定されていることが一般的です。
【3】上部構造(人工歯・被せ物)
実際にお口の中で見える部分で、噛む役割を持つ歯の形をしています。
アバットメントの上にセメント(専用接着剤)やスクリューで固定します。
Qインプラントは危ないと聞いたことがあります。安全性は大丈夫ですか?
インプラント治療は、適切な診査・診断と確かな技術に基づいて行えば、安全性の高い治療です。
インプラントは、あごの骨に人工の土台(フィクスチャー)を埋め込む手術のため、事前に以下のような骨の情報を正確に把握することが重要です。
・骨の厚みや高さ
・骨の質(やわらかい・硬い)
・神経や血管との位置関係 など
当院では、歯科用CTを用いて3次元的に骨の状態を把握し、神経損傷などのリスクを回避した上で、安全性の高い治療計画を立てています。
万が一、これらの診査を省いたまま治療を行うと、
・神経を傷つけてしびれが残る
・骨との結合が不十分でインプラントが長持ちしないなどのリスクが高まります。
だからこそ、インプラント治療で最も大切なのは「事前の精密診断」です。当院では、安全・確実な治療のために、CT検査を標準で行っていますので、安心してご相談ください。
Qインプラントができない場合はありますか?
インプラント治療は多くの方に適応できますが、以下のようなケースでは慎重な判断が必要、または治療ができない場合もあります。
・妊娠中の方
・全身疾患のある方
・他の歯根に感染症がある方、歯周病の方
・あごの骨の量が少ない方、骨粗鬆症の方
・糖尿病や高血圧などの慢性疾患がある方は良好な状態にコントロールされていることが条件になります。(必要に応じて医科の先生と対診させていただきます)
・顎の成長が終わっていない方(18歳未満の方)
・歯磨きなどの日常の手入れが充分にできない方
・アルコール依存症の方、精神疾患のある方また過去にその既往がある方
・医師との協調が得られない、精神的に問題のある方
・チタンへのアレルギーを持っている方
Qインプラント治療の歴史について教えてください
ヨーロッパでは上顎に鉄製のインプラントが埋まっている紀元3世紀頃のローマ時代の人骨が発見されています。また、中南米では下顎に貝で作られたインプラントが埋まっている紀元7世紀頃の人骨が発見されています。このように、インプラントの歴史はとても古いのですが、確実な治療法になったのは比較的最近です。1952年に金属のチタンを骨の中に埋めると骨と結合する現象が発見され、1965年にスクリュー形状(ネジのような形状)のチタン製のインプラントの臨床応用が開始されました。骨と結合するインプラントの登場によって、インプラントの臨床成績は著しく向上しました。このように骨と結合するインプラントの臨床結果が優れていることが世界的に知られるようになったのは、1980年代になってからです。その後、インプラントには様々な改良が加えられ、臨床成績がさらに向上しています。(日本口腔インプラント学会より引用)
Qインプラントをすると、他の歯に影響はありますか?
インプラントは、他の健康な歯に負担をかけずに失った歯を補うことができる治療法です。例えば、保険適用の「ブリッジ」治療では、欠損部の両隣の健康な歯を大きく削って土台にする必要があります。また、「部分入れ歯(義歯)」の場合は、残っている歯にバネをかけることで、徐々にバネをかけている歯へ負担がかかりやすくなります。それに対してインプラントは、周囲の歯を削ったり負担をかけたりすることなく、単独で機能するため、残っている歯を守る選択肢としても有効です。
インプラント治療の流れ・手術について
Qインプラント治療の一般的な流れは?
インプラント治療においては、治療を開始から治療終了までの期間は、個々のケースにより異なってきます。顎の中にインプラント体を入れてから骨と結合させるには一定期間必要であり、この期間は骨の状態により変わります。そのため骨の状態が弱い方や、新しく骨を作った場合などは治療期間が延びる可能性が高くあります。骨に異常がない場合は2-3ヶ月で歯が入るようになりますが、それ以外の場合は6ヶ月から12ヶ月かかる場合があります。
インプラント治療の流れの詳細はコチラ
Qインプラント治療中に歯がない期間はありますか?
前歯や複数にわたる奥歯など、治療中の見た目や噛む機能が気になる方には、仮歯の装着が可能です。しかし、骨移植や新しく骨を作った場合は局部に圧力をかけない方が望ましいため、しばらく歯がないほうが良いことがあります。
Qインプラント手術は痛みはどのくらいですか?
インプラント手術は局所麻酔を使うため、手術中の痛みはほぼありません。手術に対し大きな不安や緊張を感じてしまう方は静脈内鎮静法も選択可能です。リラックスした状態で治療を受けることができるため、精神的な不安・緊張感をおおきく和らげてくれます。術後の痛みには個人差がありますが、適切な鎮痛薬でしっかりケアします。
静脈内鎮静法の詳細はコチラ
Qインプラントの手術時間はどれくらいですか?
1本のインプラント埋入であれば、約30分前後で完了します(局所麻酔で行う場合)ただし、以下のようなケースでは、手術時間が長くなることがあります。
・埋入本数が多い場合
・骨造成(骨を作る処置)を伴う場合
・静脈内鎮静法などを併用する場合
いずれも事前の診断とカウンセリングで、所要時間や流れをしっかりご説明しますのでご安心ください。
Qインプラント治療の通院回数は?
個々の口腔内の状態や治療方針によって変わってきます。新しく骨を作る必要がない方、抜歯後の治癒を待つ必要のない方は、検査、埋入、消毒、抜糸、型取り、装着でおおよそ6回、期間は2ヶ月から3ヶ月となります。
インプラント治療の費用/保証制度について
Qインプラント治療の費用・料金相場はどのくらい?
インプラント治療は一部を除き、保険適用外の治療です。そのため治療費は安くはありませんが長期的な将来を見据えれば費用対効果の高い治療となります。外れる心配のない状態での食事や再治療を考える心配のない状態にしておくことは将来的な治療費の出費や、精神的ストレスを減らしてくれます。支払い方法は分割払いも可能となっております。
インプラントの料金表はこちら
Qクリニックによってインプラントの費用が違うのはなぜですか?
インプラントの費用差の大きな理由は、使用している「インプラントシステム」の違いにあります。現在、世界中には60種類以上のインプラントシステムが存在しており、安価で実績の少ない製品、類似のコピー製品、長期実績のある高品質な製品など、価格や性能はさまざまです。当院では、ストローマン社製とDIO社製のインプラントを採用しています。ストローマン社製のインプラントは、世界中で高いシェアと長期実績を持つ信頼性の高いシステムであり、費用はやや高めですが、長期的な安定性や安全性が非常に優れているとされています。また、DIO社製のインプラントは、世界最大のインプラント市場である韓国のインプラントメーカーで、世界70ヶ国以上に製品を展開するコストパフォーマンスに優れたシステムです。これにより、費用を抑えながらも安全性の高い治療を実施しています。
「ただ安いインプラント」ではなく、将来の安心を見据えた品質重視の選択をおすすめしています。
なお、どのインプラントシステムが適しているかは、事前のカウンセリングを通じて患者さまのご希望やお口の状態をふまえ判断いたします。
Qインプラントの保証制度はありますか?
当院では最大10年の保証制度を設けています。3ヶ月〜6ヶ月に1度の定期的なメンテナンス受診が保証の条件です。
インプラント保証の詳細はコチラ
インプラント治療の可否(持病・生活習慣)
Qインプラント治療に年齢制限はありますか?
18歳未満の方には原則としてインプラント治療を行っていません。高齢の方もインプラントが本当に必要かどうかを精査して判断させていただいております。
◆ インプラント治療が難しい、または避けた方がよいケース
・妊娠中の方
・重度の全身疾患がある方
・糖尿病・高血圧などの慢性疾患が未コントロールの方
→ 良好に管理されていれば、医科との連携のうえ治療可能な場合もあります
・あごの骨の量が少ない方、骨粗鬆症の方
・重度の歯周病がある方、歯根の感染が残っている方
・顎の成長が完了していない方(おおよそ18歳未満)
・日常の口腔ケア(歯磨き)がきちんとできない方
・アルコール依存症、精神疾患がある方、またはその既往がある方
・歯科医師とのコミュニケーションが困難な方
・金属アレルギー(チタンアレルギー)がある方
→ 近年は「チタンを使わないジルコニアインプラント」も登場しています
Q糖尿病です。インプラント治療は可能ですか?
血糖コントロールが良好であれば治療可能です。血糖のコントロールができていない場合は、感染リスクなどを考慮して、医科的治療を優先させていただきます。これは埋入後のインプラントの予後の問題、全身的な影響の問題を考慮しての判断となります。
Q歯周病です。インプラント治療は可能ですか?
歯周病の状態によっては、インプラント治療はすぐには行えないことがあります。当院では「お口全体の健康(口腔内全体)」を考えた治療を大切にしており、歯周病が進行している状態ではインプラント治療はおすすめしていません。
理由は、歯周病の原因となる細菌がインプラントにも悪影響を及ぼし、せっかく入れたインプラントが長持ちしなくなるリスクがあるためです。そのため、まずは歯周病の治療をしっかり行い、お口の中の環境を整えてからインプラント治療へ進むことが、安全で成功率の高い治療につながります。
歯周病治療の詳細はコチラ
Qインプラント治療中に禁煙は必要ですか?
禁煙は強く推奨されます。タバコは治癒を遅らせるほか、歯周病、インプラント周囲炎の進行の原因となります。また当院では、喫煙されている方はインプラント保証の対象外となります。電子タバコも同様です。
Q上下とも総入れ歯なのですが、インプラント治療は可能ですか?何本入れた方が良いですか?
CT撮影を行い、骨があればインプラント治療は可能です。まずはCT撮影で顎の骨の状態(骨の量や質)を確認し、インプラントが埋め込めるかどうかを判断します。
本数については、治療の目的によって異なりますが、例えば特に下顎の総入れ歯の場合は、「2本のインプラント」で入れ歯を固定する治療が非常に効果的です。しっかり安定し、噛みやすさや話しやすさが格段に改善されます。
もちろん、よりしっかり固定させたい場合は4本〜6本のインプラントでブリッジのように固定する方法もあります。ご希望やご予算に応じて、最適な治療計画をご提案しますので、まずはご相談ください。
インプラント治療後について
Qインプラントの正しいケア方法について教えてください
担当の歯科医師、歯科衛生士と共にセルフケアの仕方など指導させていただきます。インプラントを長期的に維持するためにも最善なケアが必要となります。
Qインプラントの耐久年数はどのくらいですか?
適切なセルフケアと歯科医院での定期メンテナンスを継続することで、インプラント本体(人工歯根)は10年以上、場合によっては半永久的に機能することもあります。ただし、上に装着される「被せ物(上部構造)」や「義歯」は、天然歯と同様にすり減ったり劣化したりするため、数年〜十数年のうちに修理や再製作が必要になる場合があります。
当院では、インプラントを長く快適に使っていただくために、治療後のサポートにも力を入れています。