Blogブログ
【インプラントの精度は本当に上がったのか?】サージカルガイドの利点と欠点を歯科医が解説
2026年2月13日
インプラント治療において「サージカルガイド」という言葉を耳にする機会が増えました。
デジタル技術の進歩により、より正確で低侵襲な治療が可能になった、それは事実です。
しかし、精度が上がった=安全になったとは単純に言い切れません。
本日は、当院でも使用しているサージカルガイドの本質的な利点と、見落とされがちなリスクについて整理します。
サージカルガイドとは?
サージカルガイドとは、インプラントを埋入する位置・角度・深さを事前に設計し、その設計通りにドリリングを誘導するための装置です。
現在は、
・口腔内スキャナーによる歯列データ
・CT(CBCT)による骨形態データ
これらを統合(マッチング)して、三次元的に設計します。

一昔前は「参考程度」の位置づけで、
最終的なドリリングはガイドを外して行うケースも多くありました。
しかし現在では、
・フルガイドシステムの普及
・専用スリーブやキー付きドリルの開発
・ガイド装着下でのホール形成が可能な機器の進化
により、ガイドを装着したまま埋入まで完結できる時代になっています。
サージカルガイドのメリット
1. 埋入位置の再現性向上
事前に設計した理想的なポジションを再現しやすくなります。
特に審美領域では補綴主導型の設計が可能になります。
2. 低侵襲手術(フラップレス)の選択肢
症例を選べば歯肉を大きく切開せずに埋入可能。
術後の腫脹・疼痛の軽減につながります。
3. オペ時間の短縮
ドリリング方向を悩む時間が減るため、
全体の手術時間が短縮される傾向があります。
4. 医療チーム間での情報共有
設計データがあるため、技工士や補綴設計との連携が取りやすい。
では、なぜトラブルが増えているのか?
デジタル化の恩恵と同時に、ガイド依存という新たなリスクも生まれています。
1. マッチング誤差のリスク
口腔内スキャンデータは歯肉上部までの情報。
CTは骨情報。
この二つを重ね合わせる際に、わずかなズレ(マッチングエラー)が生じる可能性があります。
ミクロン単位のズレが、
最終的には神経・上顎洞との距離に影響することもあります。
2. スリーブ構造の限界
ガイドには「スリーブ」と呼ばれる金属筒があり、
ドリルの方向を規定します。
しかし、
・スリーブは歯肉上部まで
・先端部までは誘導できない
つまり、ドリルの先端方向は完全拘束されているわけではありません。
僅かな初期傾斜の誤差が、
骨内で拡大される可能性があります。
3. 開口量の問題(特に大臼歯部)
臼歯部では、
・ガイドの厚み
・ドリルの長さ
・口腔内スペース
これらの関係でバーが物理的に入らないケースがあります。
開口量が十分でない症例では、
ガイドがむしろ妨げになることもあります。
4. リカバリー能力の問題
ガイド依存のオペでは、
・途中で角度修正が困難
・骨質が想定と異なる場合の対応が限定的
となることがあります。
設計通りに進まなかった時の修正力がなければ、
かえってリスクが高まるのです。
デジタル化しても基礎技術は消えない
サージカルガイドはあくまで「道具」です。
重要なのは、
・骨質の触知感覚
・ドリリングトルクの判断
・フラップ形成の適応判断
・解剖学的リスクの理解
といった基礎技術。
デジタルは補助であり、
術者の判断力を代替するものではありません。
当院のスタンス
当院では、
・ガイドを使用する症例
・ガイドをあえて使用しない症例
・フラップレスかフラップ化か
を症例ごとに判断しています。
「常にガイド」でもなければ
「ガイド不要」でもありません。
目的は一つ。確実で安全なインプラント治療。
インプラント治療をご検討中の方へ
インプラントは、
技術・設計・診断力の総合医療です。
「ガイドを使っているかどうか」よりも、
その医院がどのように判断しているかが重要です。
インプラント治療について不安や疑問がある方は、
ぜひ一度ご相談ください。
静岡石田インプラントセンターでは、
患者様一人ひとりに最適な治療設計をご提案いたします。