Blogブログ
インプラントが歯周病になりやすい原因とは?治療法や予防法を解説
2026年1月27日

インプラント治療は失った歯を補い、美しい見た目の歯を実現できる治療法です。
しかし、治療後のケアを怠るとインプラント周囲炎というインプラントで起こる歯周病を発症する可能性があります。
インプラント周囲炎は天然歯の歯周病よりも進行が早く、インプラントが抜け落ちてしまうこともあるため注意が必要です。
この記事では、インプラントが歯周病になりやすい理由から、具体的な予防法まで解説します。
すでにインプラント治療を受けた方も、これから検討されている方も、ぜひ参考にしてください。
インプラントが歯周病(インプラント周囲炎)になりやすい理由

インプラントは天然歯に比べて歯周病になりやすいのが特徴です。
主な理由は、インプラントと天然歯の構造的な違いにあります。
天然歯には、歯と顎の骨をつなぐ『歯根膜』という組織があり、歯茎や骨に栄養を運び、細菌の侵入を防ぐバリア機能を担っています。
しかし、インプラントには歯根膜がありません。
そのため周りの組織の免疫力が天然歯よりも低く、細菌が侵入しやすい構造になっているのです。
インプラント周囲炎の進行速度は、天然歯の歯周病の約3倍ともいわれています。
炎症が起きると急速に骨の吸収が進むため、早期発見と予防が重要です。
日本歯周病学会の調査によると、インプラント治療後3年以上経過した患者の約1割がインプラント周囲疾患を発症したと報告されています。
インプラント周囲炎と歯周病の違い

インプラント周囲炎と天然歯の歯周病は似ていますが、いくつかの大きな違いがあります。
一つは、進行速度の違いです。
インプラント周囲炎は歯周病の約3倍の速さで進行すると言われています。これは、インプラントに歯根膜がないことで免疫力が低下するためです。
さらに治療の難しさも異なります。
歯周病の治療法は確立されていますが、インプラント周囲炎の治療法はまだ十分に確立されていません。
とくに重度のケースでは、外科的な処置が必要となることも多く、予後は悪い傾向があります。
また、症状の現れ方にも違いがあります。
インプラント周囲炎は歯周病と比べて以下のような症状の特徴があります。
- 痛みが生じにくく気づきにくい
- 歯茎の腫れが出にくい
- 出血しにくい
- 歯茎だけでなく骨にも急速に炎症が起こる
このように、インプラント周囲炎は症状が分かりにくいため、定期的な歯科医院でのチェックが欠かせません。
歯周病でもインプラント治療は可能?

歯周病がある状態ではインプラント治療を受けることはできません。
ただし、歯周病を治療し、口内の状態が改善すればインプラント治療を受けられる可能性があります。
歯周病を先に治療しなければインプラント治療はできない
歯周病がある状態でインプラント治療を受けられない理由は、いくつかのリスクがあるためです。
歯周病治療をせずにインプラント治療を行うと、以下のような問題が発生する可能性が高くなります。
インプラント周囲炎を発症するリスクが高まるため
歯周病がある状態では、口の中に歯周病菌が多く存在しています。
この状態でインプラントを埋め込むと、手術の際に細菌が侵入しやすくなり、術後にインプラント周囲炎を発症するリスクが高まるのです。
歯周病とインプラント周囲炎の原因菌には類似性があるため、歯周病を治療せずにインプラント治療を行えば、インプラント周囲炎を引き起こす可能性が高くなるでしょう。
インプラントを支える顎の骨が足りない可能性があるため
歯周病が進行すると、歯を支える顎の骨が溶けてしまいます。
インプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込むため、十分な骨の厚みや高さが必要です。
歯周病により骨が大きく失われている場合、インプラントを埋め込むための土台が不足しています。
無理にインプラントを埋め込んでも、十分に固定できず、グラグラしたり抜け落ちたりするリスクが高くなります。
骨が不足している場合は、骨造成などの処置の検討が必要です。
インプラント治療自体の成功率が下がるため
歯周病がある状態でインプラント治療を行うと、治療の成功率が低下します。
主な理由は以下のとおりです。
- 治療期間中に歯周病が進行し、他の歯を失う可能性がある
- 手術後の傷口が細菌に感染しやすく、化膿するリスクが高まる
- 炎症によりインプラントと骨の結合が妨げられる
インプラント治療は一般的に6ヶ月から1年程度の期間を要します。
期間中に歯周病が悪化すれば治療計画の変更が必要となり、治療を受ける患者さんの負担も増えてしまうのです。
インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎の主な原因は、プラーク(歯垢)に含まれる細菌感染です。
プラークは食べカスや細菌の塊で、除去しないとインプラントと歯茎の間にたまっていきます。
プラークがたまると細菌が増殖し、歯茎に炎症を引き起こします。
炎症が進行すると、インプラントを支える骨にまで影響が及び、骨が破壊されて減ってしまうのです。
プラークは、毎日の歯磨きが不十分であることや、歯科医院での定期的なメンテナンスを怠ることでたまります。
日々のケアを大切にして予防することが大切です。
インプラント周囲炎のリスクを高める要因

細菌感染以外にも、インプラント周囲炎のリスクを高める要因がいくつかあります。
喫煙
喫煙はインプラント周囲炎の重要なリスク要因の一つです。
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、血流が悪くなります。
血流が悪化すると、インプラント周りの組織に十分な酸素や栄養が届かなくなり、免疫力が低下します。
免疫力が低下した状態では、細菌に対する抵抗力が弱くなり、インプラント周囲炎を発症しやすくなるのです。
喫煙習慣がある方は、インプラント治療を受ける前に禁煙を強くおすすめします。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方も、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
インプラントや周りの組織に過度な力をかけてしまうためです。
過度な力が継続的にかかると、インプラント周りの骨や歯茎に小さな傷ができ、炎症のきっかけとなります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガード(マウスピース)の装着を検討しましょう。
糖尿病などの全身疾患
糖尿病や骨粗しょう症などの全身疾患も、インプラント周囲炎のリスク要因となります。
これらの疾患は、体の免疫機能や治癒能力に影響を与えるためです。
糖尿病の場合、血糖値が高い状態が続くと、白血球の働きが低下し、細菌に対する抵抗力が弱くなります。
貧血の方も、インプラント周りの組織に十分な栄養や酸素が届かず、免疫力が低下してしまいます。
全身疾患をもつ方がインプラント治療を希望する場合は、病状のコントロールが必要です。
インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の症状は、進行段階によって異なります。
ここでは、初期段階と進行したときの症状に分けて解説します。
初期段階のインプラント周囲粘膜炎の症状
インプラント周囲粘膜炎は、インプラント周囲炎の初期段階で、炎症が歯茎に限られている状態です。
この段階では、骨の破壊はまだ起きていません。
主な症状は、インプラント周囲の歯茎の赤みや腫れです。歯磨きをした際に出血することもあります。
ただし、痛みを伴わないことが多いため、症状に気づかないまま過ごしてしまうケースも少なくありません。
この段階であれば、適切なプラーク除去と専門的なクリーニングで改善できることが多いです。
骨の破壊が始まるインプラント周囲炎の症状
インプラント周囲粘膜炎が進行すると、炎症が歯茎から顎の骨にまで広がります。
この状態がインプラント周囲炎です。
歯茎の赤みや腫れ、出血に加えて、歯茎から膿が出るようになります。
口臭も強くなることがあり、周囲の人に指摘されて気づく場合もあるでしょう。
炎症により骨が溶け始めると、歯茎が下がってインプラントの根元部分がむき出しになることがあります。
さらに進行すると、インプラントを支える骨が大きく失われ、インプラントがグラグラと動くようになります。
重度になると、インプラントが自然に抜け落ちてしまうこともあるため早めの対処が大切です。
インプラント周囲炎の治療法

インプラント周囲炎の治療は、症状の進行度によって方法が異なります。
大きく分けて、外科的処置を行わない『非外科的治療』と、歯茎を切開して行う『外科的治療』の2つがあります。
症状が軽い場合の非外科的治療
骨の破壊が軽度の場合や、インプラント周囲粘膜炎の段階であれば、非外科的治療で対応できることがあります。
まず、インプラント周りに付いたプラークや歯石を専用の器具で丁寧に除去します。
次に、インプラントと歯茎の間にできた歯周ポケット内の洗浄です。
殺菌作用のある薬剤を注入したり、レーザーを使って細菌を死滅させたりします。
治療と並行して、正しいブラッシング方法の指導も行います。毎日のセルフケアが不十分だと、治療しても再発してしまうためです。
症状が進行している場合の外科的治療
骨の破壊が進行している場合は、外科的治療が必要になります。
歯茎を切開してインプラント体を露出させ、直接治療する方法です。
局所麻酔をして歯茎を切開した後、インプラント周りの炎症している部分を取り除き、徹底的に清掃・殺菌します。
骨の破壊が進んでいる場合は、骨移植や人工骨を使って骨の再生を促す治療が行われることもあります。
外科的治療を行っても改善が見られない場合や、骨の破壊が著しい場合は、インプラントを除去せざるを得ないこともあるでしょう。
インプラントの歯周病の予防方法

インプラント周囲炎は、一度発症すると治療が難しく、予後も良くないことが多いです。
そのため、発症を防ぐための予防が重要になります。
毎日のセルフケアを徹底する
インプラント周囲炎を予防するには、毎日の丁寧な歯磨きが欠かせません。
プラークをしっかり除去することで、細菌の増殖を防ぎ、炎症を起こさせないようにするのです。
歯磨きの際は、歯の表面だけでなく、歯と歯茎の間を意識的に磨きましょう。
インプラントの根元部分はくびれた形状をしているため、とくに丁寧なブラッシングが必要になります。
歯茎に対して歯ブラシを45度の角度で当て、小刻みに動かすと良いです。
歯ブラシだけでは磨ききれない歯と歯の間は、デンタルフロスや歯間ブラシを使って清掃しましょう。
歯科医院でブラッシング指導を受け、正しい磨き方を身につけることをおすすめします。
歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける
インプラント治療を受けた後は、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが必須です。
セルフケアだけでは落としきれない汚れがあるため、専門的なケアが必要になります。
メンテナンスの頻度は、一般的に3〜6か月に1回が推奨されています。
ただし、歯周病の既往歴がある方や口内の状態によっては、もっと頻繁に通院が必要になることもあるため、医師の指示に従って通院しましょう。
メンテナンスでは、インプラント周りの状態を確認し、専用の器具を使ってプラークや歯石を取り除きます。
レントゲン撮影も定期的に行われ、骨の状態を確認してもらえます。
まとめ
インプラントは天然歯に比べると歯周病になりやすい傾向にあるため、毎日丁寧なケアを行い、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが大切です。
静岡石田インプラントセンターでは、治療前の精密な検査を徹底し、一人ひとりの口内の状態に合わせたオーダーメイドの治療計画を立案します。
歯周病がある場合には、まずその治療を優先し、インプラント治療に適した口腔環境を整えることから始めます。
また、治療後の定期的なメンテナンスにも力を入れており、メンテナンスを継続される方には10年間の保証制度も設けています。
「歯周病があるから」とインプラント治療を諦めていた方や、治療に不安を感じている方は、電話やLINE、WEBフォームからお気軽にご相談ください。
